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H28院試/京都大学/数学・数理解析専攻/専門科目

  
   

平成28年度/京都大学大学院/理学研究科/数学・数理解析専攻の大学院入試問題の「専門科目」の解答の方針と解答です.

ただし,採点基準などは公式に発表されていないため,ここでの解答が必ずしも正解とならない場合もあり得るので注意してください.

なお,過去問は京都大学のホームページから入手できます.

【参考:京都大学数学教室の過去問

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問題

問題は12問あり,数学系志願者は問1~問10から選択して2問を,数理解析系志願者は問1〜問12から選択して2問を解答します.試験時間は3時間です.

この記事では問6,問7を掲載しています.

解答はこのページの下部のリンクから入手できます.

問6

測度空間(X,\mathcal{F},\mu)上の関数列\{f_n\}_{n\in\mathbb{N}}は次の条件を満たすと仮定する.

(*) \{f_n\}\mu-可積分な関数列であって,n\to\inftyのときほとんどいたるところ0に収束する.

このとき,以下の条件を考える.

(A) \lim\limits_{\lambda\to\infty}\sup\limits_{n\in\mathbb{N}}\displaystyle\int_{\{|f_n|\ge\lambda\}}|f_n|d\mu=0

(B) \lim\limits_{\substack{E\in\mathcal{F}\\\mu(E)<\infty}}\sup\limits_{n\in\mathbb{N}}\displaystyle\int_{X\setminus E}|f_n|d\mu=0

(C) \lim\limits_{n\to\infty}\displaystyle\int_{X}|f_n|d\mu=0

以下の問に答えよ.

(i) (A)と(B)が成り立つならば(C)が成り立つことを示せ.

(ii) (C)が成り立つならば(A)が成り立つことを示せ.

(iii) 測度空間(X,\mathcal{F},\mu)\sigma-有限性を仮定するとき,(C)が成り立つならば(B)が成り立つことを示せ.

問7

UVWを実Banach空間とし,\|\cdot\|<em>{U}\|\cdot\|</em>{V}\|\cdot\|_{W}をそれぞれのノルムとする.写像T:U\times V\to Wは以下の(A),(B)をみたすとする.

(A) u,u'\in Uv,v'\in V\alpha,\beta\in\mathbb{R}ならば,

T(\alpha u+\beta u',v)=\alpha T(u,v)+\beta T(u',v)
T(u,\alpha v+\beta v')=\alpha T(u,v)+\beta T(u,v')

(B) UVの点列\{u_n\}_{n=1}^{\infty}\{v_n\}_{n=1}^{\infty}が,\lim\limits_{n\to\infty}{u_n}=u\in U\lim\limits_{n\to\infty}{v_n}=v\in U\lim\limits_{n\to\infty}T(u_n,v_n)=w\in Wをみたすならば,T(u,v)=wである.

このとき,ある定数M>0が存在して,任意のu\in Uv\in Vに対して,

\|T(u,v)\|_{W}\le M\|u\|_{U}\|v\|_{V}

が成り立つことを示せ.

解答

解答は以下のリンクから入手できます.

以下は注意事項です.

  • 解答作成には万全を期していますが,論理の飛躍,誤りがあることは有り得ます.
  • 本稿はこの著者に著作権があります.
  • 無断複製,無断転載は一切禁止します.これらの行為が確認された場合は,止むを得ず法的手段に出ることがあります.

この解答が大学院受験生の一助になれば幸いです.

参考文献

以下の3冊は,実際に私が使用したものである.

  • 「演習大学院入試問題(数学I) 第3版」(姫野俊一/陳啓浩 共著,サイエンス社)
  • 「演習大学院入試問題(数学II) 第3版」(姫野俊一/陳啓浩 共著,サイエンス社)
  • 「詳解と演習大学院入試問題〈数学〉」(海老原円 著,数理工学社)

演習大学院入試問題

ところどころ誤植があったり,もう少しスッキリ解答できるところがあるのが残念.しかし,問題量は非常に豊富である.全2巻で,

1巻

第1編 線形代数
第2編 微分・積分学
第3編 微分方程式

2巻

第4編 ラプラス変換,フーリエ変換,特殊関数,変分法
第5編 複素関数論
第6編 確率・統計

が扱われている.

問題の種類としては発想問題よりも,ちゃんと地に足つけた考え方で解ける問題が多い.

計算量が多い問題,基本問題も多く扱われているが,試験では基本問題ほど手早く処理することが求められるので,その意味で試験への対応力が養われるであろう.(私自身,計算力があまり高くないので苦労した.)

詳解と演習大学院入試問題〈数学〉

上述の姫野氏の問題集とは対照的に,問題数はそこまで多くないが1問1問の解説が丁寧になされている.また,構成が読みやすい.

第1章 数え上げと整数
第2章 線形代数
第3章 微積分
第4章 微分方程式
第5章 複素解析
第6章 ベクトル解析
第7章 ラプラス変換
第8章 フーリエ変換
第9章 確率

典型的な問題でも複数の解法を紹介しているので,私は参考になることも多かった.個人的にはこの本には非常に好感が持てる.

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