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H28院試/大阪市立大学/数物系専攻/数学系/専門分野

平成28年度/大阪市立大学大学院/理学研究科/数物系専攻/数学系の大学院入試問題の「専門分野」の解答の方針と解答です.

ただし,採点基準などは公式に発表されていないため,ここでの解答例が必ずしも正解とならない場合もあり得るので注意してください.

なお,過去問は大阪市立大学のサポートセンターで借りて,コピーすることはできます.

【参考:大阪市立大学/理学部・理学研究科/大学院入試情報

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問題と解答

問題は12問あり,3問選択して解答します.試験時間は3時間30分です.

私が打ち出したものですが,問題のPDFは【こちら】にあります.

  • 解答作成には万全を期していますが,論理の飛躍,誤りがあることは有り得ます.
  • 当ホームページのPDFはこの著者に著作権があります.
  • 無断複製,無断転載は一切禁止します.これらの行為が認められた場合は,止むを得ず法的手段に出ることがあります.
¥3,000 – 問1〜問12の全解答

問1

nを2以上の整数とし,Gn次巡回群とする.aGの生成元とする.複素数を成分とする2次正則行列全体のなす群\mrm{GL}(2,\C)として,群準同型f:G\to\mrm{GL}(2,\C)を考える.
以下の問いに答えよ.

(1) f(a)の位数はnの約数であることを示せ.

(2) f(a)は対角化可能であることを示せ.

(3) (2)により,f(a)は適当な\mrm{GL}(2,\C)の元Pを用いて

\begin{align*} f(a)=P^{-1}\pmat{\lambda&0\\0&\mu}P \end{align*}

と表される.\lambda, \muはどのような数であるか論ぜよ.

¥400 – 問1の解答

問2

pを素数,\mathbb{F}_pp個の元から成る有限体とする.\mathbb{F}_p上のp次多項式f(x)=x^{p}-x-1について,以下の問いに答えよ.

(1) f(x)\mathbb{F}_pに根を持たないことを示せ.

(2) \alpha\mathbb{F}_pの拡大体におけるf(x)の根とする.s\in\mathbb{F}_pとすると,\alpha+sf(x)の根であることを示せ.

(3) f(x)\mathbb{F}_p上既約であるかどうか論ぜよ.

¥400 – 問2の解答

問3

Rを可換環とする.R加群Mが既約R部分加群I_1I_2の直和になっているとする.ただし,M{0}でないR部分加群Iについて,Iに含まれるR部分加群がI自身と{0}しかないときに,IMの既約R部分加群という.M{0}でないR部分加群Xについて,以下の問いに答えよ.

(1) X\cap I_1\neq{0}のとき,XI_1Mに一致することを示せ.

(2) X\cap I_1={0}のとき,MI_1Xの直和になることを示せ.

(3) I_1I_2R加群として同型でないとき,MR部分加群は,{0}, I_1, I_2, Mのいずれかであることを示せ.

¥400 – 問3の解答

問4

次の2次元の単体複体を考える.

\begin{align*} K=\{|a_1a_2a_3|,|a_1a_2|,|a_2a_3|,|a_3a_4|,|a_4a_1|,|a_1a_3|,|a_1|,|a_2|,|a_3|,|a_4|\} \end{align*}

以下の問いに答えよ.

(1) オイラー標数\chi(K)を求めよ.

(2) 整係数ホモロジー群H_{d}(K)を求めよ.

(3) 球面から異なる2点を取り除いた図形をXとする.Kが定める多面体|K|Xは同相でないことを示せ.

¥400 – 問4の解答

問5

位相空間Xとその部分集合Aに対して,次のような同値関係を定める:x,y\in Xに対し

\begin{align*} x\sim y\quad\iff\quad x=y \end{align*}

または

\begin{align*} \{x,y\}\subset A. \end{align*}

この同値関係によるXの商集合X/Aに,全射p:X\to X/Aが連続となるような最も強い位相(商位相)を入れる.以下の問いに答えよ.

(1) X/Aの商位相を定める開集合族はどのように与えられるか述べ,それが位相の3つの条件を満たすことを示せ.

(2) 2つの円周S_1, S_2,および,異なる2点P, Q\in S_1を考える.このとき,次の3つの空間X, Y, Zが互いに同相でないことを示せ.

\begin{align*} X=S_1\times S_2,\quad Y=(S_1\times S_2)/(\{P\}\times S_2),\quad Z=(S_1/\{P,Q\})\times S_2 \end{align*}

¥400 – 問5の解答

問6

平面\R^2から空間\R^3への写像

\begin{align*} &\varphi:\R^2\ni (u,v)\longmapsto\phi(u,v)\in\R^3, \\&\varphi(u,v)=(\cos{u}\cosh{v},\sin{u}\cosh{v},v) \end{align*}

によって曲面Sを定める.このとき,次の問いに答えよ.

(1) 曲面S\varphiに関する第1基本量E, F, Gを計算せよ.

(2) 曲面S\varphiに関する第2基本量L, M, Nを計算せよ.

(3) 曲面Sのガウス曲率K,平均曲率H,主曲率\kappa_1, \kappa_2を計算せよ.

(4) \R^2の領域D=\set{(u,v)}{0\le u\le2\pi,-1\le v\le1}でパラメータ付けされる曲面Sの部分\varphi(D)の面積を求めよ.さらにその概形を描け.

¥400 – 問6の解答

問7

実数cに対し,

\begin{align*} M_{c}=\set{(x_1,x_2,x_3)\in\R^3}{{x_1}^2+{x_2}^2=c{x_3}^2+1} \end{align*}

とおく.このとき,次の問いに答えよ.

(1) M_{c}\R^3の部分多様体となることを示せ.

(2) c_1c_2が異符号のとき,M_{c_1}M_{c_2}は微分同相でないことを示せ.

(3) M_{c}M_0と微分同相となるためのcに関する条件を求めよ.

¥400 – 問7の解答

問8

p>1とする.区間[0,1]上の連続関数の集合W_{p}

\begin{align*} W_p=\set{u\in C([0,1])\cap C^1((0,1])}{\begin{gathered}u\ge0,\quad u(0)=0,\\\int_0^1|u'(t)|^{p}\,dt<\infty,\\ \int_0^1\bra{\frac{u(t)}{t}}^{p}\,dt<\infty\end{gathered}} \end{align*}

とおく.以下の問いに答えよ.

(1) 任意のu\in W_{p}に対して

\begin{align*} \int_0^1\bra{\frac{u(t)}{t}}^{p}\,dt=\frac{(u(1))^p}{1-p}-\frac{p}{1-p}\dint_0^1t^{1-p}(u(t))^{p-1}u'(t)\,dt \end{align*}

が成り立つことを示せ.

(2) 任意のu\in W_{p}に対して不等式

\begin{align*} \bra{\frac{p-1}{p}}^{p}\dint_0^1\bra{\frac{u(t)}{t}}^p\,dt\le\dint_0^1|u'(t)|^{p}\,dt \end{align*}

が成り立つことを示せ.

(3) 等式

\begin{align*} \inf\set{\frac{\dint_0^1|u'(t)|^{p}\,dt}{\dint_0^1\bra{\frac{u(t)}{t}}^{p}\,dt}}{u\in W_{p},u\not\equiv0} =\bra{\frac{p-1}{p}}^{p} \end{align*}

が成り立つことを示せ.

¥400 – 問8の解答

問9

f(z)=\frac{1}{z^4+1}とおく.以下の問いに答えよ.

(1) z^4=-1を満たす複素数を全て求めよ.

(2) Rを1より大きい実数とする.複素平面上で,z=Rから原点を中心として反時計回りに円周上をz=-Rまで進んでできる半円をC_R, z=-Rから実数上をz=Rまで進んでできる線分をI_Rとおく.次の複素積分の値を求めよ.

\begin{align*} \int_{C_R+I_R}f(z)\,dz \end{align*}

(3) \lim\limits_{R\to\infty}\dint_{C_R}f(z)\,dz=0であることを示せ.

(4) 定積分\dint_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{x^4+1}の値を求めよ.

¥400 – 問9の解答

問10

数列空間

\begin{align*} \ell^2=\set{a=(a_k)_{k=1}^{\infty}}{a_k\in\R,\|a\|=\brb{\dsum_{k=1}^{\infty}|a_k|^2}^{1/2}<\infty} \end{align*}

の元a^{(n)} (n=1,2,3,\dots)を以下で定める.

\begin{align*} &a^{(n)}=\bra{a_1^{(n)},a_2^{(n)},a_3^{(n)},\dots}, \\&a_k^{(n)}=\frac{1}{1+|n-k|}\quad(k=1,2,3,\dots) \end{align*}

また,任意のa,b\in \ell^2に対して\anb{a,b}=\dsum_{k=1}^{\infty}a_kb_kとおく.このとき以下の問いに答えよ.

(1) \sup\limits_{n\in\N}|a^{(n)}|<\inftyを示せ.

(2) \inf\limits_{n\in\N}|a^{(n)}|>0を示せ.

(3) 任意のb\in \ell^2に対して\lim\limits_{n\to\infty}\anb{a^{(n)},b}=0となることを示せ.

¥400 – 問10の解答

問11

以下の各問いに答えよ.

(1) 区間[0,1]上の実数値可積分関数列\{f_n\}_{n\in\N}が全てのnについて非負であり,かつ

\begin{align*} \lim_{n\to\infty}\dint_0^1f_n(x)\,dx=0 \end{align*}

をみたすとする.このとき,ほとんどすべてのx\in[0,1]に対して

\begin{align*} \liminf\limits_{n\to\infty}f_n(x)=0 \end{align*}

となることを示せ.

(2) 区間[0,1]上の実数値可積分関数列\{g_n\}_{n\in\N}を次で定義する:

n\in\Nn=2^k+j (j=0,1,\dots,2^k-1;k=0,1,2,\dots)と表されるとき,

\begin{align*} g_n(x)=\begin{cases}1&\bra{\frac{j}{2^k}\le x<\frac{j+1}{2^k}}\\0&\bra{\mrm{others}}\end{cases} \end{align*}

このとき,関数列\{g_n\}_{n\in\N}に対して\lim\limits_{n\to\infty}\dint_0^1g_n(x)\,dx=0となることを示せ.

(3) (2)の関数列\{g_n\}_{n\in\N}について,どのような0<x<1に対しても\lim\limits_{n\to\infty}g_n(x)は存在しないことを示せ.

¥400 – 問11の解答

問12

Xは正値確率変数とし,S(x)=\mathbb{P}(X>x)とおく.\alphaは正の定数として,

\begin{align*} \od{}{x}\log{S(x)}=-\alpha x^{\alpha-1},x>0 \end{align*}

をみたすとする.以下の問いに答えよ.

(1) Xの確率密度関数を求めよ.

(2) \alpha=2のとき,Xの期待値と分散を求めよ.必要なら,ガンマ関数\Gamma(x)=\dint_0^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dtについて,\Gamma\bra{\dfrac{1}{2}}=\sqrt{\pi}であることを用いよ.

(3) U(0,1)上の一様乱数,すなわち,区間(0,1)の定義関数を確率密度関数とする確率変数であるとする.このとき

\begin{align*} Y=\bra{\log\dfrac{1}{1-U}}^{1/\alpha} \end{align*}

Xと同分布であることを示せ.

¥400 – 問12の解答

参考文献

以下の問題集は,実際に私が大学院入試対策で使用したものである.

演習 大学院入試問題

まえがきに「修士の基礎数学の問題の範囲は,ほぼ本書中に網羅されている」と書かれているように,広い分野から問題が豊富に掲載されている.

全2巻で,

  • 1巻 第1編 線形代数
    1巻 第2編 微分・積分学
    1巻 第3編 微分方程式
  • 2巻 第4編 ラプラス変換,フーリエ変換,特殊関数,変分法
    2巻 第5編 複素関数論
    2巻 第6編 確率・統計

が扱われている.

問題の種類としては発想問題よりも,ちゃんと地に足つけた考え方で解ける問題が多い.

計算量が多い問題,基本問題も多く扱われているが,試験では基本問題ほど手早く処理することが求められるので,その意味で試験への対応力が養われるであろう.(私自身,計算力があまり高くないので苦労した.)

目次や詳しい内容は以下の記事を参照してください.

詳解と演習大学院入試問題〈数学〉

上述の姫野氏の問題集とは対照的に,問題数はそこまで多くないが1問1問の解説が丁寧になされている.また,構成が読みやすい.

第1章 数え上げと整数
第2章 線形代数
第3章 微積分
第4章 微分方程式
第5章 複素解析
第6章 ベクトル解析
第7章 ラプラス変換
第8章 フーリエ変換
第9章 確率

典型的な問題でも複数の解法を紹介しているので,私は参考になることも多かった.

個人的に,この本は非常に好感が持てる良書であった.

目次や詳しい内容は以下の記事を参照してください.

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