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ガンマ関数は階乗の一般化|定義と基本的性質

5!=5\cdot4\cdot3\cdot2\cdot1のように,正整数nに対して「階乗n!」はn以下の全ての正整数の積を表します.

そこで実数や複素数に「階乗」を拡張するにはどのように考えればよいでしょうか?

結論から言えば,「階乗の一般化」として「\Gamma(ガンマ)関数」とよばれる関数があります.

積分で表される\Gamma関数は実数だけでなく,複素数に対しても定義できる場合もあり,様々な場面で用いられます.

この記事では,\Gamma関数の基礎を説明します.

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ガンマ関数の定義

まずは\Gamma関数を定義します.

実部が正の複素数の集合\set{z\in\C}{\operatorname{Re}{z}>0}上で定義される関数

\begin{align*} \Gamma(z):=\int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt \end{align*}

\Gamma関数という.

\Gamma関数は実部が正の複素数に対して定義されるので,もちろん正の実数に対しても定義されますね.

Γ関数の存在

\Gamma関数をこのように定義するためには,実部が正の複素数zに対して\dint_{0}^{\infty}t^{z-1}e^t\,dt発散したりせず,きちんと存在することを示さないといけません.

広義積分が収束することの存在を示すには絶対収束することを示すのが基本的な方法で,\Gamma関数の収束も絶対収束することから示すことができます.

ということで,以下を示しましょう.

実部が正の複素数zに対して,広義積分

\begin{align*} \int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt \end{align*}

は絶対収束する.したがって,収束する.

x:=\operatorname{Re}{z}>0を満たす任意のz\in\Cに対して,

\begin{align*} \int_{0}^{\infty}|t^{z-1}e^{-t}|\,dt =&\int_{0}^{\infty}|e^{(z-1)\log{t}}|e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{\infty}e^{(x-1)\log{t}}e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \end{align*}

です.いま,

\begin{align*} \frac{t^{x-1}e^{-t}}{e^{-t/2}} =t^{x-1}e^{-t/2} \to 0\quad(t\to\infty) \end{align*}

なので,あるR>0が存在して,t>Rt^{x-1}e^{-t}<e^{-t/2}となるので,

\begin{align*} &\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{R}t^{x-1}e^{-t}\,dt+\int_{R}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \\\le&\int_{0}^{R}t^{x-1}\,dt+\int_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dt \\\le&\int_{0}^{R}t^{x-1}\,dt+\int_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dt \end{align*}

となります.x>0よりx-1>-1なので\dint_{0}^{R}t^{x-1}\,dtは収束し,\dint_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dtも収束します.

よって,絶対収束が得られ,したがって実部が正の複素数に対して\Gamma関数が存在することが分かりました.

構造としては,

  • e^{-t}によってt\to\inftyでの広義積分が存在し,
  • t^{z-1}\operatorname{z}>0によってt\to+0での広義積分が存在する

というわけですね.

Γ関数の別の表し方

また,\Gamma関数は以下のようにも表せます.

実部が正の複素数zに対して,

\begin{align*} \Gamma(z)=2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du \end{align*}

が成り立つ.

u=t^{\frac{1}{2}}とすると,

\begin{align*} &du=\frac{1}{2}t^{-\frac{1}{2}}\,dt \\\iff& 2u\,du=dt \end{align*}

なので,

\begin{align*} \Gamma(z) =&\int_{0}^{\infty}(u^2)^{z-1}e^{-u^2}(2u\,du) \\=&2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du \end{align*}

が成り立つ.

ただ単に,u^2=tと置換しただけですね.

ガンマ関数の性質

次に,\Gamma関数の性質を説明します.

ガウス積分との関係

まずはGauss(ガウス)積分を確認しておきます.

広義積分

\begin{align*} \int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}\,dx=\sqrt{\pi}=\sqrt{\pi} \end{align*}

Gauss積分という.

このように,Gauss積分の値が\sqrt{\pi}であることは以下の記事で説明しているので参照してください.

Gauss積分と\Gamma関数は以下のような関係があります.

\Gamma\bra{\dfrac{1}{2}}はGauss積分に一致する.したがって,

\begin{align*} \Gamma\bra{\dfrac{1}{2}} =\sqrt{\pi} \end{align*}

が成り立つ.

先ほど示したように,

\begin{align*} \Gamma(z)=2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du \end{align*}

ですから,

\begin{align*} \Gamma\bra{\dfrac{1}{2}} =&2\int_{0}^{\infty}e^{-u^2}\,du \\=&\int_{-\infty}^{\infty}e^{-u^2}\,du \\=&\sqrt{\pi} \end{align*}

が得られました.

階乗との関係

冒頭でも説明したように,ガンマ関数は階乗の一般化と言われます.

このことを示す重要な性質は以下の通りです.

実部が正の複素数zに対して,

\begin{align*} \Gamma(z+1)=z\Gamma(z) \end{align*}

が成り立つ.

\Gamma関数の定義と部分積分により

\begin{align*} \Gamma(z+1) =&\int_{0}^{\infty}t^{z}e^{-t}\,dt \\=&\brc{-t^{z}e^{-t}}_{0}^{\infty}-\int_{0}^{\infty}\bra{-zt^{z-1}e^{-t}}\,dt \\=&0+z\int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt \\=&z\Gamma(z) \end{align*}

が成り立ちます.

この性質により,次のように\Gamma関数と階乗の関係が得られます.

任意の自然数nに対して,

\begin{align*} \Gamma(n+1)=n! \end{align*}

が成り立つ.

数学的帰納法により示しましょう.

[1] n=1のとき,部分積分により

\begin{align*} \Gamma(n+1) =&\Gamma(2) \\=&\int_{0}^{\infty}te^{-t}\,dt \\=&\brb{\brc{-te^{-t}}_{0}^{\infty}-\int_{0}^{\infty}\bra{-e^{-t}}\,dt} \\=&\int_{0}^{\infty}-e^{-t}\,dt \\=&\brc{e^{-t}}_{0}^{\infty} =1 =n! \end{align*}

となりました.

[2] あるn\in\Nに対して\Gamma(n+1)=n!が成り立つなら,上の定理より

\begin{align*} \Gamma((n+1)+1) =&\Gamma(n+2) \\=&(n+1)\Gamma(n+1) \\=&(n+1)! \end{align*}

が成り立ちます.

ベータ関数との関係

まずはB(ベータ)関数を確認します.

実部が正の複素数の集合の直積\set{z\in\C}{\operatorname{Re}{z}>0}^2上で定義される関数

\begin{align*} B(x,y):=\int_{0}^{1}t^{x-1}(1-t)^{y-1}\,dt \end{align*}

B関数という.

t=\sin^2{\theta}と置換することにより,

\begin{align*} B(x,y) =&\int_{0}^{1}(\sin^2{\theta})^{x-1}(1-\sin^2{\theta})^{y-1}(2\sin{\theta}\cos{\theta}\,d\theta) \\=&2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2x-1}{\theta}\cos^{2y-1}{\theta}\,d\theta \end{align*}

とも表せますね.

さて,\Gamma関数を用いると,B関数は以下のように表せます.

実部が正の複素数x, yに対して,

\begin{align*} B(x,y)=\frac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{\Gamma(x+y)} \end{align*}

が成り立つ.

\Gamma(x)\Gamma(y)=\Gamma(x+y)B(x,y)を示しましょう.先ほど説明した[\Gamma関数の別の表し方]から

\begin{align*} \Gamma(x)\Gamma(y) =&\bra{2\int_{0}^{\infty}u^{2x-1}e^{-u^2}\,dt}\bra{2\int_{0}^{\infty}v^{2y-1}e^{-v^2}\,ds} \\=&4\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\infty}u^{2x-1}v^{2y-1}e^{-u^2-v^2}\,dudv \end{align*}

なので,極座標変換(u,v)=(r\cos{\theta},r\sin{\theta})と,再び[\Gamma関数の別の表し方]から

\begin{align*} \Gamma(x)\Gamma(y) =&4\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}(r\cos{\theta})^{2x-1}(r\sin{\theta})^{2y-1}e^{-r^2}\,rd\theta dr \\=&\bra{2\int_{0}^{\infty}r^{2(x+y)-1}e^{-r^2}\,dr}\bra{2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2x-1}{\theta}\sin^{2x-1}{\theta}d\theta} \\=&\Gamma(x+y)B(x,y) \end{align*}

となります.

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