ガンマ関数は階乗の一般化
定義と基本的性質を解説!

微分積分学
微分積分学

$5!=5\cdot4\cdot3\cdot2\cdot1$のように,正整数$n$の階乗$n!$は$n$以下の全ての正整数の積を表します.

そこで実数や複素数に階乗を拡張するにはどのように考えればよいでしょうか?

実は階乗の一般化として,$\Gamma$(ガンマ)関数とよばれる関数がよく知られています.

$\Gamma$関数は実数だけでなく複素数に対しても定義でき,微分積分学だけでなく複素解析においても現れる重要な関数です.

この記事では

  • $\Gamma$関数の定義
  • $\Gamma$関数の基本性質
  • $\Gamma$関数と$B$関数との関係

を順に説明します.

ガンマ関数の定義

まずは$\Gamma$関数を定義します.

実部が正の複素数の集合$\set{z\in\C}{\operatorname{Re}{z}>0}$上で定義される関数

   \begin{align*}\Gamma(z):=\int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt\end{align*}

$\Gamma$関数という.

$\Gamma$関数は実部が正の複素数に対して定義されるので,もちろん正の実数に対しても定義されますね.

$\Gamma$関数の存在

$\Gamma$関数をこのように定義するためには,実部が正の複素数$z$に対して$\dint_{0}^{\infty}t^{z-1}e^t\,dt$が発散したりせず,きちんと存在することを示さないといけません.

広義積分が収束することの存在を示すには絶対収束することを示すのが基本的な方法で,$\Gamma$関数の収束も絶対収束することから示すことができます.

実部が正の複素数$z$に対して,広義積分

   \begin{align*}\int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt\end{align*}

は絶対収束する.したがって,収束する.


$x:=\operatorname{Re}{z}>0$を満たす任意の$z\in\C$に対して

   \begin{align*} \int_{0}^{\infty}|t^{z-1}e^{-t}|\,dt =&\int_{0}^{\infty}|e^{(z-1)\log{t}}|e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{\infty}e^{(x-1)\log{t}}e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \end{align*}

である.いま

   \begin{align*} \frac{t^{x-1}e^{-t}}{e^{-t/2}} =t^{x-1}e^{-t/2} \to 0\quad(t\to\infty) \end{align*}

なので,ある$R>0$が存在して,$t>R$で$t^{x-1}e^{-t}<e^{-t/2}$となるので

   \begin{align*} &\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \\=&\int_{0}^{R}t^{x-1}e^{-t}\,dt+\int_{R}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}\,dt \\\le&\int_{0}^{R}t^{x-1}\,dt+\int_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dt \\\le&\int_{0}^{R}t^{x-1}\,dt+\int_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dt \end{align*}

となる.

$x>0$より$x-1>-1$だから$\dint_{0}^{R}t^{x-1}\,dt$は収束し,$\dint_{R}^{\infty}e^{-t/2}\,dt$も収束する.

よって,絶対収束が得られ,したがって実部が正の複素数に対して$\Gamma$関数が存在する.

証明のポイントは

  • $e^{-t}$によって$t\to\infty$での広義積分が存在し,
  • $t^{z-1}$と$\operatorname{z}>0$によって$t\to+0$での広義積分が存在する

ですね.

$\Gamma$関数の別の表し方

また,$\Gamma$関数は以下のようにも表せます.

実部が正の複素数$z$に対して,

   \begin{align*}\Gamma(z)=2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du\end{align*}

が成り立つ.


$t\ge0$に対して$u=\sqrt{t}$とおくと,

   \begin{align*}\dfrac{du}{dt}=\frac{1}{2\sqrt{t}}\iff 2u\dfrac{du}{dt}=1\end{align*}

なので

   \begin{align*} \Gamma(z) =&\int_{0}^{\infty}(u^2)^{z-1}e^{-u^2}(2u\,du) \\=&2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du \end{align*}

が成り立つ.

単に$u^2=t$と置換しただけですね.

ガンマ関数の性質

次に,$\Gamma$関数の性質を説明します.

ガウス積分との関係

まずはGauss(ガウス)積分を確認しておきます.

広義積分

   \begin{align*}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}\,dx=\sqrt{\pi}\end{align*}

Gauss積分という.

このように,Gauss積分の値が$\sqrt{\pi}$であることは以下の記事で説明しているので参照してください.

ガウス積分はどう求める?|極座標変換のヤコビアンが嬉しい計算
[ガウス積分]は数学や物理においてよく現れます.[ガウス積分]は不定積分なら計算が難しいところですが,定積分がゆえに計算することができます.この記事では,ガウス積分を極座標変換を用いて求めます.

さて,Gauss積分と$\Gamma$関数は以下のような関係があります.

$\Gamma\bra{\dfrac{1}{2}}$はGauss積分に一致する.したがって,

   \begin{align*}\Gamma\bra{\dfrac{1}{2}}=\sqrt{\pi}\end{align*}

が成り立つ.


先ほど示したように

   \begin{align*} \Gamma(z)=2\int_{0}^{\infty}u^{2z-1}e^{-u^2}\,du \end{align*}

だから

   \begin{align*} \Gamma\bra{\dfrac{1}{2}} =&2\int_{0}^{\infty}e^{-u^2}\,du \\=&\int_{-\infty}^{\infty}e^{-u^2}\,du =\sqrt{\pi} \end{align*}

が得られる.

階乗との関係

冒頭でも説明したように,ガンマ関数は階乗の一般化と言われます.

このことを示す重要な性質を証明しましょう.

実部が正の複素数$z$に対して,

   \begin{align*}\Gamma(z+1)=z\Gamma(z)\end{align*}

が成り立つ.


$\Gamma$関数の定義と部分積分により

   \begin{align*} \Gamma(z+1) =&\int_{0}^{\infty}t^{z}e^{-t}\,dt \\=&\brc{-t^{z}e^{-t}}_{0}^{\infty}-\int_{0}^{\infty}\bra{-zt^{z-1}e^{-t}}\,dt \\=&0+z\int_{0}^{\infty}t^{z-1}e^{-t}\,dt =z\Gamma(z) \end{align*}

が成り立つ.

この性質により,次のように$\Gamma$関数と階乗の関係が得られます.

任意の正の整数$n$に対して,

   \begin{align*}\Gamma(n+1)=n!\end{align*}

が成り立つ.


数学的帰納法により示す.$n=1$のとき,部分積分により

   \begin{align*} \Gamma(n+1) =&\Gamma(2) =\int_{0}^{\infty}te^{-t}\,dt \\=&\brb{\brc{-te^{-t}}_{0}^{\infty}-\int_{0}^{\infty}\bra{-e^{-t}}\,dt} \\=&\int_{0}^{\infty}-e^{-t}\,dt =\brc{e^{-t}}_{0}^{\infty} =1 =n! \end{align*}

が成り立つ.また,ある$n\in\N$に対して$\Gamma(n+1)=n!$が成り立つなら,上の定理より

   \begin{align*} \Gamma((n+1)+1) =&\Gamma(n+2) \\=&(n+1)\Gamma(n+1) \\=&(n+1)! \end{align*}

が成り立つ.

ベータ関数との関係

まずは$B$(ベータ)関数を確認します.

実部が正の複素数の集合の直積$\set{z\in\C}{\operatorname{Re}{z}>0}^2$上で定義される関数

   \begin{align*} B(x,y):=\int_{0}^{1}t^{x-1}(1-t)^{y-1}\,dt \end{align*}

$B$関数という.

$t=\sin^2{\theta}$と置換することにより,

   \begin{align*} B(x,y) =&\int_{0}^{1}(\sin^2{\theta})^{x-1}(1-\sin^2{\theta})^{y-1}(2\sin{\theta}\cos{\theta}\,d\theta) \\=&2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2x-1}{\theta}\cos^{2y-1}{\theta}\,d\theta \end{align*}

とも表せますね.

さて,$\Gamma$関数を用いると,$B$関数は以下のように表せます.

実部が正の複素数$x$, $y$に対して,

   \begin{align*} B(x,y)=\frac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{\Gamma(x+y)} \end{align*}

が成り立つ.


$\Gamma(x)\Gamma(y)=\Gamma(x+y)B(x,y)$を示せばよい.先ほど説明した$\Gamma$関数の別の表し方を用いると

   \begin{align*} \Gamma(x)\Gamma(y) =&\bra{2\int_{0}^{\infty}u^{2x-1}e^{-u^2}\,dt}\bra{2\int_{0}^{\infty}v^{2y-1}e^{-v^2}\,ds} \\=&4\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\infty}u^{2x-1}v^{2y-1}e^{-u^2-v^2}\,dudv \end{align*}

である.極座標変換$(u,v)=(r\cos{\theta},r\sin{\theta})$と,再び$\Gamma$関数の別の表し方を用いると

   \begin{align*} \Gamma(x)\Gamma(y) =&4\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}(r\cos{\theta})^{2x-1}(r\sin{\theta})^{2y-1}e^{-r^2}\,rd\theta dr \\=&\bra{2\int_{0}^{\infty}r^{2(x+y)-1}e^{-r^2}\,dr}\bra{2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2x-1}{\theta}\sin^{2x-1}{\theta}d\theta} \\=&\Gamma(x+y)B(x,y) \end{align*}

となる.

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