解析

【良いと思ったらシェアを!】

ガウス関数のフーリエ変換を具体的に計算する

Fourie変換は「関数を波の和で表す」という発想に基づいた変換であり,理工系の様々な分野で重宝される.

G(x)=Ae^{-\eta x^2} (x\in\R)で定まる関数Gを(1次元の)Gauss(ガウス)関数(Gaussian/ガウシアン)いい,Gauss関数は正規分布の確率密度関数として知られる.

Gauss関数はFourier変換を施してもGauss関数であるという性質をもつ.

Fourier変換を数学的に定義するには,ある程度の条件(可積分性など)が必要である.具体的には,Lebesgue可積分であるような関数には,Fourier変換を定義することができる.

本記事では,Gauss関数にFourier変換が定義できることを説明し,Gauss関数のFourier変換が再びGauss関数になることを計算により確かめる.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

バナッハ空間とヒルベルト空間の完備でない部分空間の例

完備なノルム空間をBanach(バナッハ)空間といい,完備な内積空間をHilbert(ヒルベルト)空間という.

Banach空間(Hilbert空間)はもとより線型空間なので,線型空間としての部分空間を考えることができる.この部分空間に元の空間と同じノルム(内積)を与えたものはノルム空間(内積空間)となるが,完備性を持つとは限らない.

すなわち,Banach空間の部分空間が同じノルムでBanach空間になるとは限らないし,Hilbert空間の部分空間が同じ内積でHilbert空間になるとは限らない.

本稿では,Hilbert空間の部分ノルム空間で完備でないものの例を考える.その際,以下の事実に注意する.

一般に,Banach空間,Hilbert空間の部分空間が同じノルムで完備であるためには,部分空間が閉であることが必要十分である.したがって,Banach空間,Hilbert空間の閉でない部分ノルム空間は完備でない.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

シュレディンガー方程式のストリッカーツ評価の導出

本稿では,Schrödinger(シュレディンガー)方程式に関する不等式評価であるStrichartz評価とその証明を解説する.

Strichartz(ストリッカーツ)評価は,波動方程式に関する不等式評価であるStrichartz-Brenner評価に対応し,歴史的にはStrichartz-Brenner評価の方が古い.

Strichartz評価の証明のためには,「自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}の分散型評価(分散評価)」と「Hardy-Littlewood-Sobolervの不等式」を用いることになる.

なお,自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}は,初期値u_0に対して自由Schrödinger方程式

i\partial_t{u}+\Delta{u}=0

の解e^{it\Delta}u_0を表す作用素e^{it\Delta}のことである.

【参考記事:自由シュレディンガー方程式の解の性質

Strichartz評価はSchrödinger方程式の評価をする上で,非常に重要な役割を果たす.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

弱Lp有界性とマルチンキーヴィッツの実補間定理

関数空間の補間定理として,[Marcinkiewicz(マルチンキーヴィッツ)の実補間定理]がある.

定義はのちに述べるが,作用素のL^p有界性には,(普通の)L^p有界性と弱L^p有界性がある.言葉からも分かるように,作用素TL^p有界であれば,弱L^p有界である.

[Marcinkiewiczの実補間定理]は,ある種の三角不等式を満たす作用素Tが弱L^1有界性と弱L^q有界性(1<q)をもつとき,任意のp\in(1, q)に対して作用素TがL^p有界性をもつことを保証する定理である.

つまり,両端L^1L^qで弱有界であれば,その間でL^p有界となる.「両端は弱でよい」というのが[Marcinkiewiczの実補間定理]の優れた点である.

また,非線形作用素にも適用できる点も優れている.

なお,Marcinkiewiczは様々な発音で読まれるが,「マルチンキェーヴィツ」がMarcinkiewiczの正確な発音に近いようである.

【参考記事:リース-ソリンの複素補間定理

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

ラグランジュの未定乗数法の直感的な理解と証明

N次元ユークリッド空間R^N上の有界閉集合(コンパクト集合)D上で定義された連続関数fは最大値,最小値を持つ(Heineの定理)ことはよく知られており,このときのfが最大点,最小点は次のいずれかである.

  1. fの全ての偏微分係数が存在して,\pd{f}{x_1}(a)=\dots=\pd{f}{x_N}(a)=0となる点a\in D^i
  2. fが微分可能でない点a\in D^i
  3. \partial D上の点

ただし,D^iDの内部(interior),\partial DDの境界である.

D^iが開集合であることから,D^iでの最大点,最小点の候補はfの導関数を考えることで絞ることができる.これが1,2である.

残る3であるが,\partial Dは一般に有限集合ではないため,\partial Dからさらに有限個に候補を絞りたい.ここで,境界\partial D上での関数fの極大点,極小点の候補を絞る[Lagrange(ラグランジュ)の未定乗数法]が非常に有効にはたらく.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

自由シュレディンガー方程式の解の性質

自由Schrödinger(シュレディンガー)方程式の初期値問題

\begin{cases} i\partial_{t}u(t,x)+\Delta_x u(t,x)=0& (t,x)\in\R\times\R^{N}\\ u(0,x)=u_{0}(x)& x\in\R^{N} \end{cases}

を考える.ここに,iは虚数単位,\partial_{t}=\frac{\partial}{\partial t}\Delta_x=\sum_{i=1}^{N}\frac{\partial^2}{\partial x_{i}^2}である.

自由Schrödinger方程式の初期値問題の解uは,[Stoneの定理]を用いてu(t,x)=e^{it\Delta}u_0(x)と表すことができ,このe^{it\Delta}を自由Schrödinger発展作用素という.

この記事では,自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}の基本性質について説明する.

ただし,本稿ではFourier変換\mathcal{F},逆Fourier変換\mathcal{F}^{-1}をそれぞれ次で定義する:

\hat{u}(\xi)=\mathcal{F}_{x}[u](\xi)=\f{1}{(2\pi)^{N/2}}\dint_{\R^N}e^{-ix\cdot\xi}u(x)\,dx
\check{u}(x)=\mathcal{F}_{\xi}^{-1}[u](x)=\f{1}{(2\pi)^{N/2}}\dint_{\R^N}e^{ix\cdot\xi}u(\xi)\,d\xi

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

微分積分学の基本定理とその証明

「積分」を定義するときの1つの方法として,「Riemann和の極限(長方形近似)」を用いて積分を定義する方法がある.

この面積による積分を「Riemann積分」というが,Riemann積分を定義から計算しようとすると積分はRiemann和から計算しなければならず,計算は面倒になる.

そこで,Riemann和を経由せずに積分を計算するための定理として,「微分積分法の基本定理」がある.

この「微分積分法の基本定理」によって,積分はRiemann和を求めずとも,原始関数によって計算できることが分かる.

なお,高校数学においては「積分は微分の逆演算」として定めるが,この定義によれば「微分積分学の定理」は明らかである.しかし,積分が求積に用いられてきたという側面を見れば,この定義はいくぶん不自然である.

この記事では,「微分積分学の基本定理」の主張とその証明を述べる.

この記事での「積分」は,全てRiemann積分を指すものとする.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

双対性議論(duality argument)について

p\in[1,\infty)に対して,p'=\bra{1-\f{1}{p}}^{-1}p'\in(1,\infty]を定める(すなわち,pp'はHölder共役).このとき,L^{p}の共役空間(双対空間)(L^{p})^{*}L^{p'}と同型であることはよく知られているが,この事実を示すことは簡単ではない.

しかし,この双対的な議論をするとき,(L^{p})^{*}\cong L^{p'}まで用いる必要はなく,次の事実だけで十分なことも多い:

任意のv\in L^{p'}(\Omega)に対して,

\|v\|_{L^{p'}(\Omega)} =\sup\limits_{\|u\|_{L^{p}(\Omega)}=1}\abs{\dint_{\Omega}u(x)v(x)\,dx}

が成り立つ.

この事実は比較的容易に証明することができる.

なお,この記事では,\Omega\subset\R^{N}に対して,I_{\Omega}\Omega\subset\R^{N}上の定義関数とする.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

フビニの定理,トネリの定理,フビニ-トネリの定理のまとめ

測度空間XYに対して,重積分\dint_{X\times Y}f(x,y)\,d(x,y)と累次積分(逐次積分)\dint_{Y}\bra{\dint_{X}f(x,y)\,dx}\,dyは一致するとは限らない.

[Fubini(フビニ)の定理][Tonnelli(トネリ)の定理]は二重積分と累次積分が一致するための十分条件を述べたものであり,非常に重要な解析学の定理である.また,[Fubiniの定理]と[Tonelliの定理]を組み合わせた[Fubini-Tonelliの定理]と呼ばれる定理も存在する.

[Fubiniの定理],[Tonelliの定理],[Fubini-Tonelliの定理]を総称して「Fubiniの定理」と呼ぶ場合もある.

この記事では,[Fubiniの定理],[Tonelliの定理],[Fubini-Tonelliの定理]を概説する.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】

リース-ソリンの複素補間定理とその証明

作用素の中でも,有界作用素は様々な良い性質をもつ.

作用素の有界性を保証する定理の一つとして,[Riesz(リース)-Thorin(ソリン)の複素補間定理]がある.

[Riesz-Thorinの複素補間定理]は以下のように述べられる.

作用素TL^{p_{0}}からL^{q_{0}}への有界作用素,かつL^{p_{1}}からL^{q_{1}}への有界作用素でもあるとき,TL^{p_{\theta}}からL^{q_{\theta}}への有界作用素となる.

ここに,p_{\theta},q_{\theta}は次の通りである.

p_{\theta}:=\left(\dfrac{1-\theta}{p_{0}}+\dfrac{\theta}{p_{1}}\right)^{-1}q_{\theta}:=\left(\dfrac{1-\theta}{q_{0}}+\dfrac{\theta}{q_{1}}\right)^{-1}

[Riesz-Thorinの複素補間定理]の証明には,[Hadamard-Phragmén-Lindelöfの三線定理]を用いる.

続きを読む

【良いと思ったらシェアを!】