偏相関係数の考え方と定義式|回帰直線を用いて導出する

 
 

1日の「プールの利用者数」と「アイスの売り上げ」と記録すると,これらは正の相関があります.

しかし,常識的に考えて「プールの利用者数が多くなるからアイスの売り上げが上がる」わけではないし,この逆の「アイスの売り上げが上がるからプールの利用者数が多くなる」わけでもありません.

このように,相関とは「片方が大きいときに他方も大きいかどうか」を考えるものなので,「因果関係」までは分かりません.

さて,「プールの利用者数」と「アイスの売り上げ」を変化させる原因としては「気温」が挙げられます.

よって,「気温」の変化による「プールの利用者数」と「アイスの売り上げ」の影響を除いたものの相関を考えると相関関係は見られないのではないかと予想ができます.

このように,ある特定の影響を除いて考える相関係数のことを偏相関係数といいます.

この記事では,偏相関係数の考え方と導出法を説明します.

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回帰分析の目的|最小二乗法から回帰直線を求める方法

 
 

例えば,「気温」と「アイスの売り上げ」の間にどのような関係性があるのかを考えたいとき,散布図を描いて視覚的に考えることはよくありますね.

ただ,散布図を描いて,「データの分布を見て,気温が高いほどアイスの売り上げが良い」と主張しても良いですが,より定量的に説明した方が説得力が増すことには異論の余地はないでしょう.

そこで,「見た感じ」ではなく数学的にきっちりとこの相関を表現するための方法として,「回帰分析」という方法があります.

回帰分析を用いると,「気温」と「アイスの売り上げ」の間の相関の強さをグラフとして視覚的に捉えることができるので,よりハッキリと人に説明することができます.

この記事では,「最小二乗法」を使った回帰分析の考え方を説明します.

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最尤推定法の考え方|データから分布を推定する方法

 
 

何らかの全国規模の調査を行いたいとき,対象者全員に調査することができれば最もよいですが,それは時間やコストなどの面から現実的ではありません.

ですから,対象者の一部に調査を行い,そこで得られたデータから対象者全員の分布を推測することになります.

その推測の方法は色々ありますが,その一つに「最尤推定法」というものがあり,名前の通り「最もそれっぽい分布を推定する方法」です.

「最尤推定法」という名前を聞くといかめしい印象を受けますが,(実際の計算はともかく)実は考え方はシンプルでそれほど難しいものではありません.

この記事では,「最尤推定法」の考え方を説明し,最尤推定法の使い方をみます.

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LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方4|座標の定義と計算

 
 

例えば,座標上の点(1,2)を何度も用いるなら,”(1,2)“を何度も書くのは面倒である.

また,(1,2)(3,2)に書き換えたいとき,全ての(1,2)(3,2)に書き換えなければならず,とても面倒である.

TikZでは点(1,2)を”(A)”と名付けることができ,点(1,2)の代わりに”(A)”と書いた部分は全て点(1,2)として処理することができる.

こうすると,もし点(1,2)(3,2)に書き換えたいなら,たった1ヶ所”(A)”の定義を(3,2)に書き換えるだけで,全ての(1,2)(3,2)に置き換わる.

このように,点の定義は適切に利用すれば,TikZの記述の編集が非常に簡単になる.

また,TikZでライブラリ”calc”を用いることで,座標の計算ができるようになる.これについても,本記事で説明する.

なお,本稿では以下のように2つのライブラリ”intersections”,”calc”を用いる.

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well-definedとは何か?|剰余群の定義を理解しよう

 
 

代数学で群論を学ぶと,そのうち剰余群を学ぶことになりますが,剰余群の定義で戸惑ってしまう人は多いように思います.

この戸惑う根底にあるのは,“well-defined性”の概念でしょう.

剰余群の定義においてだけではなく,数学において“well-defined性”は非常に重要ですが,高校ではともかく大学でもその意味を教えてもらったことがない人も多いように思います.

少なくとも私は教わった記憶がありません.

剰余群を定義する際に,この“well-defined性”を理解していないと「どうしてこんな議論が必要なのか」と思ってしまうことが多いようです.

本記事では,剰余群の定義を通して“well-defined性”を理解することを目標とします.

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LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方3|グラフの描き方

 
 

TikZではy=x^2+xy=\sin{x}などといったy=f(x)の陽関数だけでなく,媒介変数表示された点(x(t),y(t))のグラフを描くこともできる.

関数のグラフを書くための三角関数,指数関数,対数関数のコマンドも用意されており,初等関数はほぼ問題なく描くことができる.

もちろん前回の記事で説明した線のスタイルの変更も行えるので,重要なグラフは太くするといった描画も可能である.

また,極座標表示も可能なので,この記事で説明する.

したがって,極座標表示を用いることにより,極方程式のグラフも描くことができる.

なお,本稿では以下のように2つのライブラリ”intersections”,”calc”を用いる.

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LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方2|線のスタイル

 
 

前回の記事では,TikZを使うための環境について説明し,基本的な線分や曲線の描き方を説明した.

この記事では,描線について

  • 太さを変える
  • デザイン(点線や破線)にする
  • 矢印にする

といったスタイルを変える方法を説明する.

スタイルをコントロールできれば,図の表現の幅が飛躍的に広がる.

ただし,本稿では以下のように2つのライブラリ”intersections”,”calc”を用いる.

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LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方1|基本的な描線

 
 

LaTeXで図を扱いたいとき,もともと画像ファイルを作っておいて,それをgraphicxなどのパッケージで挿入する方法がある.

しかし,図とLaTeXの文字のバランスの調整が難しかったり,図の挿入が綺麗に挿入できないことも少なくない.

そこで,本稿ではTeXファイルに直接記述することで,直線,曲線,グラフなどの図を描くことができるパッケージのTikzのLaTeXでの使い方を紹介する.

画像ファイルを挿入する方法だと,図に修正を加えたいときに別ソフトで画像ファイルの編集をする必要がある.

一方,直接記述して表示できるTikZを用いれば,図の修正がTeX上で完結する.これはメリットであろう.

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ガウス関数のフーリエ変換を具体的に計算する

 
 

Fourie変換は「関数を波の和で表す」という発想に基づいた変換であり,理工系の様々な分野で重宝される.

G(x)=Ae^{-\eta x^2} (x\in\R)で定まる関数Gを(1次元の)Gauss(ガウス)関数(Gaussian/ガウシアン)いい,Gauss関数は正規分布の確率密度関数として知られる.

Gauss関数はFourier変換を施してもGauss関数であるという性質をもつ.

Fourier変換を数学的に定義するには,ある程度の条件(可積分性など)が必要である.具体的には,Lebesgue可積分であるような関数には,Fourier変換を定義することができる.

本記事では,Gauss関数にFourier変換が定義できることを説明し,Gauss関数のFourier変換が再びGauss関数になることを計算により確かめる.

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バナッハ空間とヒルベルト空間の完備でない部分空間の例

   

完備なノルム空間をBanach(バナッハ)空間といい,完備な内積空間をHilbert(ヒルベルト)空間という.

Banach空間(Hilbert空間)はもとより線型空間なので,線型空間としての部分空間を考えることができる.この部分空間に元の空間と同じノルム(内積)を与えたものはノルム空間(内積空間)となるが,完備性を持つとは限らない.

すなわち,Banach空間の部分空間が同じノルムでBanach空間になるとは限らないし,Hilbert空間の部分空間が同じ内積でHilbert空間になるとは限らない.

本稿では,Hilbert空間の部分ノルム空間で完備でないものの例を考える.その際,以下の事実に注意する.

一般に,Banach空間,Hilbert空間の部分空間が同じノルムで完備であるためには,部分空間が閉であることが必要十分である.したがって,Banach空間,Hilbert空間の閉でない部分ノルム空間は完備でない.

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