括弧の$\LaTeX$コマンドを紹介します.
数学においては様々な括弧が用いられますが,括弧の中身によって適切な大きさの括弧は変わりますね.
$\LaTeX$には中身に合わせて自動で適切な括弧の大きさに変化させることができるコマンドがあります.
なお,本稿では以下のように2つのパッケージ
- amsmath.sty
- amssymb.sty
を用います.
1 2 3 4 5 6 |
\documentclass{jsarticle} \usepackage{amsmath,amssymb} \begin{document} \end{document} |
括弧の種類
括弧の形を指定する$\LaTeX$コマンドです.
コマンド | 表示 | コマンド | 表示 |
---|---|---|---|
(1) | $(1)$ | \{2\} | $\{2\}$ |
[3] | $[3]$ | \langle 4 \rangle | $\langle 4 \rangle$ |
\lceil 5 \rceil | $\lceil 5 \rceil$ | \lfloor 6 \rfloor | $\lfloor 6 \rfloor$ |
\| 7 \| | $\| 7 \|$ |
一般に$\lfloor \cdot \rfloor$は床関数,$\lceil \cdot \rceil$は天井関数といい,実数$x$に対して
- $\lfloor x \rfloor$は$x$を超えない最大の整数($x$以下の最大の整数)
- $\lceil x \rceil$は$x$を下回らない最小の整数($x$以上の最小の整数)
を表します.床関数は日本でよく使われるガウス記号$[\cdot]$と同じですね.
「ガウス記号」という名前は平方剰余の相互法則の論文でGaussが用いたことに由来しているようです.
また,$\langle \cdot \rangle$は解析ではJapanese braketと呼ばれ,$x\in\R^n$に対して
と扱われることがよくあります.
括弧のサイズ
括弧の大きさを指定する$\LaTeX$コマンドです.
コマンド | 表示 | コマンド | 表示 |
---|---|---|---|
(1) | $(1)$ | \bigl( 2 \bigr) | $\bigl( 2 \bigr)$ |
\Bigl( 3 \Bigr) | $\Bigl( 3 \Bigr)$ | \biggl( 4 \biggr) | $\biggl( 4 \biggr)$ |
\Biggl( 5 \Biggr) | $\Biggl( 5 \Biggr)$ |
なお, \Big( 3 \Big)としても括弧は大きくなりますが, \Bigl( 3 \Bigr)と比べると左右の括弧のバランスがよくないことがあります.
自動で適切なサイズの括弧にする
以上のように文字の大きさを変更するコマンドで直接括弧の大きさを変更することもできますが,いちいち中身に合わせて大きさを指定するのは面倒です.
そこで,
1 |
\left( \int_{\mathbb{R}}e^{-x^2}dx \right)^2 |
のように括弧の前に \leftと \rightを記述すると,
のように自動で適切な大きさの括弧となります.
右の括弧と左の括弧の種類は異なっていてもよく,例えば半開区間などは
1 |
\left( -\frac{\sqrt{2}}{2},\frac{\sqrt{2}}{2} \right] |
と記述すると,
と表示されます.
さらに,片側の括弧を省略したい場合には,例えば
1 2 3 4 |
f(x)=\left\{\begin{matrix} 1&(x\in\mathbb{Q})\\ 0&(x\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q}) \end{matrix}\right. |
と記述すると,
と表示されます.
括弧の間の区切りのサイズも変更する
例えば,集合を表す際には
のように区切り線|を用います.
このように,括弧の間の記号も自動で適当なサイズにしたい場合には
1 |
\left\{ \begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}\in\mathbb{R}^2 \middle| x+y>1 \right\} |
のように \middleを用います.
区切り線でなくても \middleは有効です.
コメント