LaTeXコマンド集|括弧( )の種類と大きさを変える方法

コマンド
コマンド

括弧かっこの$\LaTeX$コマンドを紹介します.

数学においては様々な括弧が用いられますが,括弧の中身によって適切な大きさの括弧は変わりますね.

$\LaTeX$には中身に合わせて自動で適切な括弧の大きさに変化させることができるコマンドがあります.

なお,本稿では以下のように2つのパッケージ

  • amsmath.sty
  • amssymb.sty

を用います.


$\LaTeX$の参考文献

以下は$\LaTeX$に関するオススメの参考書です.

LaTeX2e美文書作成入門 改訂第9版

[奥村晴彦 著/技術評論社]

$\TeX$はDonald E. Knuth氏が開発した数式処理に特化した組版処理システム(ざっくり言えば文書ソフト)です.

現在ではほとんどの数学の論文雑誌では$\LaTeX$により書かれた論文が標準となっています.

そのため,ほとんどの数学の研究者が論文作成の際に$\LaTeX$を使っていると言ってよいでしょう.

著者の奥村氏は日本における$\TeX$の第一人者で,本書は$\LaTeX$初心者から中級者まで幅広い層に役立つ$\LaTeX$の教科書です.

数式処理だけでなく$\LaTeX$を扱う際に便利な多くの機能の解説が載っており,しっかり理解して$\LaTeX$を習得することができます.

本書にはDVD-ROMが付属しておりインストール用がすぐにできるので,$\LaTeX$を始める人が苦戦しがちな環境整備がすぐにできます.

括弧の種類

括弧の形を指定する$\LaTeX$コマンドです.

括弧の種類
コマンド 表示 コマンド 表示
(1) $(1)$ \{2\} $\{2\}$
[3] $[3]$ \langle 4 \rangle $\langle 4 \rangle$
\lceil 5 \rceil $\lceil 5 \rceil$ \lfloor 6 \rfloor $\lfloor 6 \rfloor$
\| 7 \| $\| 7 \|$

一般に$\lfloor \cdot \rfloor$は床関数,$\lceil \cdot \rceil$は天井関数といい,実数$x$に対して

  • $\lfloor x \rfloor$は$x$を超えない最大の整数($x$以下の最大の整数)
  • $\lceil x \rceil$は$x$を下回らない最小の整数($x$以上の最小の整数)

を表します.床関数は日本でよく使われるガウス記号$[\cdot]$と同じですね.

「ガウス記号」という名前は平方剰余の相互法則の論文でGaussが用いたことに由来しているようです.

また,$\langle \cdot \rangle$は解析ではJapanese braketと呼ばれ,$x\in\R^n$に対して

    \begin{align*}\langle x \rangle=\sqrt{1+|x|^2}\end{align*}

と扱われることがよくあります.

括弧のサイズ

括弧の大きさを指定する$\LaTeX$コマンドです.

コマンド 表示 コマンド 表示
(1) $(1)$ \bigl( 2 \bigr) $\bigl( 2 \bigr)$
\Bigl( 3 \Bigr) $\Bigl( 3 \Bigr)$ \biggl( 4 \biggr) $\biggl( 4 \biggr)$
\Biggl( 5 \Biggr) $\Biggl( 5 \Biggr)$

なお, \Big( 3 \Big)としても括弧は大きくなりますが, \Bigl( 3 \Bigr)と比べると左右の括弧のバランスがよくないことがあります.

自動で適切なサイズの括弧にする

以上のように文字の大きさを変更するコマンドで直接括弧の大きさを変更することもできますが,いちいち中身に合わせて大きさを指定するのは面倒です.

そこで,

のように括弧の前に \left\rightを記述すると,

    \begin{align*}\left( \int_{\R}e^{-x^2}dx \right)^2\end{align*}

のように自動で適切な大きさの括弧となります.

右の括弧と左の括弧の種類は異なっていてもよく,例えば半開区間などは

と記述すると,

    \begin{align*}\left( -\frac{\sqrt{2}}{2},\frac{\sqrt{2}}{2} \right]\end{align*}

と表示されます.

さらに,片側の括弧を省略したい場合には,例えば

と記述すると,

    \begin{align*}f(x)=\left\{ \begin{matrix}1&(x\in\mathbb{Q})\\0&(x\in\mathbb{R}\setminus\mathbb{Q})\end{matrix} \right.\end{align*}

と表示されます.

括弧の間の区切りのサイズも変更する

例えば,集合を表す際には

    \begin{align*}\left\{ \begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}\in\mathbb{R}^2 \middle| x+y>1 \right\}\end{align*}

のように区切り線|を用います.

このように,括弧の間の記号も自動で適当なサイズにしたい場合には

のように \middleを用います.

区切り線でなくても \middleは有効です.

管理人

プロフィール

山本やまもと 拓人たくと

元予備校講師.講師として駆け出しの頃から予備校の生徒アンケートで抜群の成績を残し,通常の8倍の報酬アップを提示されるなど頭角を表す.

飛び級・首席合格で大学院に入学しそのまま首席修了するなど数学の深い知識をもち,本質をふまえた分かりやすい授業に定評がある.

現在はオンライン家庭教師,社会人向け数学教室での講師としての教育活動とともに,京都大学で数学の研究も行っている.専門は非線形偏微分方程式論.大学数学系YouTuberとしても活動中.

趣味は数学,ピアノ,甘いもの食べ歩き.公式LINEを友達登録で【限定プレゼント】配布中.

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あーるえぬ

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