$\LaTeX$では数式中でさまざまな書体の文字を出力することができます.
そこで,この記事では$\LaTeX$での
- ギリシャ文字
- ドイツ文字
- 黒板文字
- 筆記体(3種類)
- 花文字
の書き方を紹介します.
なお,本稿では以下のようには amssymbパッケージを用います.
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\documentclass{jsarticle} \usepackage{amssymb} \begin{document} \end{document} |
ギリシャ文字
ギリシャ文字の$\LaTeX$コマンドです.いずれも数式内で有効です.
コマンド | 表示(読み) | コマンド | 表示(読み) |
---|---|---|---|
A,\alpha | $A,\alpha$(アルファ) | B,\beta | $B,\beta$(ベータ) |
\Gamma,\gamma | $\Gamma,\gamma$(ガンマ) | \Delta,\delta | $\Delta,\delta$(デルタ) |
E,\epsilon | $E,\epsilon$(イプシロン) | Z,\zeta | $Z,\zeta$(ゼータ) |
H,\eta | $H,\eta$(イータ) | \Theta,\theta | $\Theta,\theta$(シータ) |
I,\iota | $I,\iota$(イオタ) | K,\kappa | $K,\kappa$(カッパ) |
\Lambda,\lambda | $\Lambda,\lambda$(ラムダ) | M,\mu | $M,\mu$(ミュー) |
N,\nu | $N,\nu$(ニュー) | \Xi,\xi | $\Xi,\xi$(クシー) |
O,o | $O,o$(オミクロン) | \Pi,\pi | $\Pi,\pi$(パイ) |
P,\rho | $P,\rho$(ロー) | \Sigma,\sigma | $\Sigma,\sigma$(シグマ) |
T,\tau | $T,\tau$(タウ) | \Upsilon,\upsilon | $\Upsilon,\upsilon$(ウプシロン) |
\Phi,\phi | $\Phi,\phi$(ファイ) | X,\chi | $X,\chi$(カイ) |
\Psi,\psi | $\Psi,\psi$(プサイ) | \Omega,\omega | $\Omega,\omega$(オメガ) |
コマンドがあるギリシャ文字の大文字は,頭に varをつけると$\varGamma$のように斜体になります.
コマンド | 表示 | コマンド | 表示 | コマンド | 表示 |
---|---|---|---|---|---|
\varGamma | $\varGamma$ | \varDelta | $\varDelta$ | \varTheta | $\varTheta$ |
\varLambda | $\varLambda$ | \varXi | $\varXi$ | \varPi | $\varPi$ |
\varSigma | $\varSigma$ | \varUpsilon | $\varUpsilon$ | \varPhi | $\varPhi$ |
\varPsi | $\varPsi$ | \varOmega | $\varOmega$ |
また,異字体をもつギリシャ文字の小文字は,頭に varをつけると以下のように異字体になります.
コマンド | 表示(読み) | コマンド | 表示(読み) |
---|---|---|---|
\varepsilon | $\varepsilon$(イプシロン) | \vartheta | $\vartheta$(シータ) |
\varpi | $\varpi$(パイ) | \varrho | $\varrho$(ロー) |
\varsigma | $\varsigma$(シグマ) | \varphi | $\varphi$(ファイ) |
ドイツ文字
フラクトゥールとも呼ばれるドイツ文字は \mathfrak{ }でアルファベットを囲むと表示されます.いずれも数式内で有効です.
コマンド | 表示(読み) | コマンド | 表示(読み) |
---|---|---|---|
\mathfrak{A,a} | $\mathfrak{A,a}$(アー) | \mathfrak{B,b} | $\mathfrak{B,b}$(ベー) |
\mathfrak{C,c} | $\mathfrak{C,c}$(ツェー) | \mathfrak{D,d} | $\mathfrak{D,d}$(デー) |
\mathfrak{E,e} | $\mathfrak{E,e}$(エー) | \mathfrak{F,f} | $\mathfrak{F,f}$(エフ) |
\mathfrak{G,g} | $\mathfrak{G,g}$(ゲー) | \mathfrak{H,h} | $\mathfrak{H,h}$(ハー) |
\mathfrak{I,i} | $\mathfrak{I,i}$(イー) | \mathfrak{J,j} | $\mathfrak{J,j}$(イョット) |
\mathfrak{K,k} | $\mathfrak{K,k}$(カー) | \mathfrak{L,l} | $\mathfrak{L,l}$(エル) |
\mathfrak{M,m} | $\mathfrak{M,m}$(エム) | \mathfrak{N,n} | $\mathfrak{N,n}$(エヌ) |
\mathfrak{O,o} | $\mathfrak{O,o}$(オー) | \mathfrak{P,p} | $\mathfrak{P,p}$(ペー) |
\mathfrak{Q,q} | $\mathfrak{Q,q}$(クー) | \mathfrak{R,r} | $\mathfrak{R,r}$(エール) |
\mathfrak{S,s} | $\mathfrak{S,s}$(エス) | \mathfrak{T,t} | $\mathfrak{T,t}$(テー) |
\mathfrak{U,u} | $\mathfrak{U,u}$(ウー) | \mathfrak{V,v} | $\mathfrak{V,v}$(ファオ) |
\mathfrak{W,w} | $\mathfrak{W,w}$(ヴェ) | \mathfrak{X,x} | $\mathfrak{X,x}$(イクス) |
\mathfrak{Y,y} | $\mathfrak{Y,y}$(エプシロン) | \mathfrak{Z,z} | $\mathfrak{Z,z}$(ツェット) |
音楽では音名を言うときにドイツ語を使いますね.
「集合・位相入門」(松坂和夫 著,岩波書店)ではドイツ文字が使われていて読みにくいと言われることがよくありますが,これで大丈夫ですね?
その他の書体
実は冒頭で挙げた残りの書体は全て同様に出力することができます.いずれも数式内で有効です.
黒板文字
黒板文字は黒板に手書きで太文字を描くときのような書体で, \mathbb{ }でアルファベットを囲むと表示されます.
つまり, \mathbb{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}と入力すれば,
と出力されます.一般に
- $\N$は正の整数全部の集合(または非負整数全部の集合)
- $\Z$は整数全部の集合
- $\Q$は有理数全部の集合
- $\R$は実数全部の集合
- $\C$は複素数全部の集合
を表しますね.
筆記体(3種類)
筆記体(カリグラフィー)は \mathcal{ }でアルファベットを囲むと表示されます.
つまり, \mathcal{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}と入力すれば,
と出力されます.
ただし,筆記体は使っているパッケージによって書体が変化します.例えば,
-
eucalパッケージを使う場合は
-
txfontsパッケージを使う場合は
となります.
筆記体は集合族(集合の集合)を表す際に用いられることが多いですね.
花文字
花文字(スクリプト)を用いるには mathrsfsパッケージが必要で,プリアンブルに \usepackage{mathrsfs}を書いておくことで使えるようになります.
このもとで \mathscr{ }でアルファベットを囲むと表示されます.
つまり, \mathscr{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}と入力すれば,
と出力されます.
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