2015大学院入試｜大阪市立大学 数物系専攻(数学系)｜基礎的分野

(1)　計算により$A$の固有多項式は

である．

また，$A$の固有値がすべて0であることと$A$が4次正方行列であることから，$A$の固有多項式は$x^4$なので，

である．

(2)　$\alpha =\pm i$のとき，複号同順で

である．

Jordan標準形としてありうるものは，$\mathrm{rk}A=2$より$J_2(0)\oplus J_2(0)$, $J_3(0)\oplus J_1(0)$に限られ，さらに$\mathrm{rk}{A}^2=1$より$J_3(0)\oplus J_1(0)$に限る．

よって，$A$のJordan標準形は$J_3(0)\oplus J_1(0)$である．

(1)　$0\in \mathbb{R}$以外での$F$, $F^{\prime }$の連続性は成り立つ．

よって，$F\in C^1(\mathbb{R})$であるためには，$\underset{x\to +0}{lim}F(x)=\underset{x\to -0}{lim}F(x)$かつ$\underset{x\to +0}{lim}{F}^{\prime }(x)=\underset{x\to -0}{lim}{F}^{\prime }(x)$であることが必要十分である．

$f(0),f^{\prime }(0)\ne 0$だから，

である．したがって，$F\in C^1(\mathbb{R})$となるような組$(a_1,a_2)$は$(a_1,a_2)=(3,-2)$である．

(2)　$0\in \mathbb{R}$以外での$F^{(k)}$ ($k=0,1,2$)の連続性は成り立つ．

よって，$F\in C^1(\mathbb{R})$であるためには，$\underset{x\to +0}{lim}{F}^{(k)}(x)=\underset{x\to -0}{lim}{F}^{(k)}(x)$ ($k=0,1,2$)であることが必要十分である．

$f^{(k)}(0)\ne 0$ ($k=0,1,2$)だから

である．したがって，$F\in C^2(\mathbb{R})$となるような組$(b_1,b_2,b_3)$は$(b_1,b_2,b_3)=(6,-8,3)$である．

(3)　$0\in \mathbb{R}$以外での$F^{(k)}$ ($k=0,1,\dots ,m-1$)の連続性は成り立つ．

よって，$F\in C^{m-1}(\mathbb{R})$であるためには，$\underset{x\to +0}{lim}{F}^{(k)}(x)=\underset{x\to -0}{lim}{F}^{(k)}(x)$ ($k=0,1,\dots ,m-1$)であることが必要十分である．

$f^{(k)}(0)\ne 0$ ($k=0,1,\dots ,m-1$)だから

である．$c_1,c_2,\dots ,c_m$に関する係数行列の行列式

はVandermondeの行列式だから正則だから，連立方程式(1)はちょうど一つ解$(c_1,c_2,\dots ,c_m)$をもつ．

したがって，$F\in C^{m-1}(\mathbb{R})$となるような$(c_1,c_2,\dots ,c_m)$の組がちょうど一つ存在する．

$U_r(a):=\left\{x\in X\right|d(a,x)<r\}$と定める．

(1)　$A$が開集合であるとは，任意の$a\in A$に対し，ある$r>0$が存在して$U_r(a)\subset A$をみたすことをいう．

$A$が閉集合であるとは，$A$の補集合$A^c=X\setminus A$が閉集合であることをいう．

(2)　背理法により示す．すなわち，$a\notin A$と仮定して矛盾を導く．

このとき，$a\in X\setminus A$で$X\setminus A$は開集合だから，ある$r>0$が存在して，$U_r(a)\subset X\setminus A$をみたす．

一方， $\underset{n\to \mathrm{\infty }}{lim}{a}_n=a$より，上の$r$に対して

が成り立つが， 各$n$に対して$a_n\in A$だったから， これは矛盾である．

(3)　存在しない． 反例を以下で構成する．

$X$を実成分の数列全体の集合とし， $a=\{a_n{\}}_{n\in \mathbb{N}}$, $b=\{b_n{\}}_{n\in \mathbb{N}}\in X$に対して

によって写像$d:X\to \mathbb{R}$を定める．このとき，$a,b,c\in X$として

が成り立つから，$d$は$X$上の距離となり，

(すなわち，$A$は第$n$項の値が$1+{\displaystyle \frac{1}{n}}$で他の項の値が0である数列$x_n$全体の集合)は反例である．

[1]　$A$が閉集合であることを示す．

$A$上の任意の収束列$\{a_n{\}}_{n\in \mathbb{N}}$に対して，$a_n\to a$ ($n\to \mathrm{\infty }$)なる$a\in X$が存在する．

収束列の定義から，

みたす．また，$a,b\in X$が$a\ne b$なら$d(a,b)>2$なので，ある$n_0\in \mathbb{N}$が存在して，$n>n_0$のとき$a=a_n$となる．

よって，$a\in A$を得る．$\{a_n{\}}_{n\in \mathbb{N}}$は$A$の任意の列だったから$A$は閉集合．

[2]　$d_A(x)=d(a,x)$なる$a\in A$が存在しないことを示す．

$d(x_n,x)=1+{\displaystyle \frac{1}{n}}$より$d_A(x)=1$であるが，任意の$a\in A$に対して$d(a,x)>1$となるから，$d_A(x)=d(a,x)$をみたす$a\in A$は存在しない．

以上より，この集合$X$， 部分集合$A\subset X$， 点$x\in X$は反例になっている．