LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方5|領域に色を塗る

前回の記事までで,TikZによる

  • 直線・円・楕円といった基本的な描線
  • 点線や矢印や色など線のスタイル
  • $y=f(x)$の基本的なグラフ,媒介変数表示された方程式,極方程式などの描き方
  • 便利な座標の定義や,座標計算の方法

など「描線」について説明してきました.

この記事では「領域」の塗り方について説明します.

TikZで領域が塗れるようになると,図による表現の幅が大きく広がりますね.

なお,本稿では以下のように3つのライブラリ”intersections”, “calc”, “arrows.meta”を用います.

なお,ライブラリについては最初の記事で説明しています.

領域の塗り方

ここでは,座標上の点の定義の仕方を説明します.

基本の領域の塗り方

例えば,

と記述すれば,

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と表示されます.つまり,

と記述すれば,(描画)の内部を[塗る色]で塗ることができます.

塗ると同時に描画する方法

いまの描画では,三角形を描くことと三角形の内部を塗ることは別の命令として記述しましたが,これは

と1行で記述することもできます.つまり,

と記述すれば,上の図と同じように描画の内部を[塗る色]で塗り,描画をすることができます.

注意

いくつか注意をします.

塗る順番

描線の場合にはあまり意識せずとも大きな問題になることはありませんが,領域を塗る場合には塗る順番は大切ですね.

TikZのルールとして,図形は命令の順に上に重ねて描かれていきます.

そのため,

と記述すれば,

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となり,この2つの円の記述する順番を入れ替えて

と記述すれば,

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となります.

領域の色

領域の色はLaTeXの色パッケージのxcolor.styに準じます.そのため,以下の基本の19色は色の名前で使うことができます.

xcolor.styで名前が定義された色
描画 描画 描画
red

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green

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blue

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cyan

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magenta

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yellow

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black

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gray

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white

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darkgray

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lightgray

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brown

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lime

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olive

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orange

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pink

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purple

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teal

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violet

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また,

と記述すれば,

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と色を混ぜることができます.つまり,

と記述すると,(領域)は(色1)と(色2)を$p:(100-p)$の割合で混ぜた色で塗られます.

詳しくは【https://www.ctan.org/pkg/xcolor】など,xcolor.styの説明のページを参照してください.

塗られる領域

上の例では全て閉領域を記述してその中を塗るように命令してきましたが,描線が閉じていなくても自動で始点と終点を結んで閉じた領域を塗ってくれます.

そのため,例えば

と記述すれば,

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となります.

  • \draw として (0,0)--(1,1)--(2,1)--(3,0) の線を描き
  • \fill として (0,0)--(1,1)--(2,1)--(3,0)--cycle の領域を塗る

というわけですね.

また,単純でない(交差のある)閉曲線になる場合にも囲まれる領域が塗られます.例えば

と記述すれば,

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となります.

参考文献

LaTeX2e美文書作成入門 改訂第8版

[奥村晴彦 著/技術評論社]

$\TeX$はDonald E. Knuth氏が開発した数式処理に特化した組版処理システム(ざっくり言えば文書ソフト)です.

現在ではほとんどの数学の論文雑誌では$\LaTeX$により書かれた論文が標準となっています.

そのため,ほとんどの数学の研究者が論文作成の際に$\LaTeX$を使っていると言ってよいでしょう.

著者の奥村氏は日本における$\TeX$の第一人者で,本書は$\LaTeX$初心者から中級者まで幅広い層に役立つ$\LaTeX$の教科書です.

数式処理だけでなく$\LaTeX$を扱う際に便利な多くの機能の解説が載っており,しっかり理解して$\LaTeX$を習得することができます.

本書にはDVD-ROMが付属しておりインストール用がすぐにできるので,$\LaTeX$を始める人が苦戦しがちな環境整備がすぐにできます.

最後までありがとうございました!

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