関数
と計算できることが知られており,この広義積分はガウス積分やオイラー-ポアソン積分などと呼ばれます.
直観的には
この記事では
- ガウス積分の定義と収束性
- ガウス積分の計算
- ガウス積分の計算上のポイント
を順に解説します.
ガウス積分の定義と収束性
まずはガウス積分がどのような積分であるかを定義し,ガウス積分が収束することを示しておきましょう.
ガウス積分の定義
広義積分
をガウス積分(Gauss integral)と言います.
一般に
一般に,非負値関数
と定義されるのでしたから,ガウス積分は
のことを言うわけですね.
ガウス積分の収束
ガウス積分の極限値が
ガウス積分
は収束する.
任意の
である.
また,第2項
より
が存在する.以上より,広義積分
ガウス積分の計算
それでは極座標変換を用いてガウス積分を計算しましょう.
ガウス積分は
が成り立つ.
の変形
非負値関数の広義積分の定義より
である.
積分領域と積分の評価
を考えると,積分領域
をみたす.
このとき,被積分関数
が成り立つ.
極座標変換を用いて計算
極座標変換
と変換される.極座標変換のヤコビアンが
であり,同様に
となる.
はさみうちの原理を適用
はさみうちの原理より
だから,
を得る.
不定積分
と簡単に表すことができます.極座標変換のヤコビアン
ガウス積分の計算上のポイント
以上の計算でのポイントを説明します.
正方形領域と極座標変換
2重積分
さて,極座標変換は
そこで,円板領域でない積分領域を円板で挟んで評価し,はさみうちの原理に持ち込むという方法がよく採られます.
今のガウス積分の計算では,
- 正方形領域
に含まれる領域 - 正方形領域
に含まれる領域
での重積分を計算し,はさみうちの原理に持ち込んだわけですね.
重積分と累次積分
微分積分学では「多くの場合で
- 重積分
- 累次積分(逐次積分)
は一致する」と学びます.
例えば,上の計算でいえば
で重積分と累次積分が一致することを用いているわけですが,定理の名前を明示するならトネリの定理から従うことが分かります.
[トネリの定理]区間
本来のトネリの定理は測度論(ルベーグ積分論)の定理ですが,連続関数の広義積分でも同様に成り立ちます.
今回の定積分
は区間- 被積分関数
は連続
なので,確かにトネリの定理から重積分に等しくなることが分かりますね.
同様に積分
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