大学の微分積分学で学ぶリーマン積分 (Riemann integral)は定義域を細かく分割して長方形近似によって面積を求める積分で,このことからリーマン積分は「縦切りの積分」ということができます.
一方,ルベーグ積分 (Lebesgue integral)はリーマン積分とは対照的に値域に注目して分割する積分で,このことからルベーグ積分は「横切りの積分」と言われることもあります.
ルベーグ積分は定義までは少々道のりが長いものの,一度整備してしまえば非常に性質がよく扱い易い積分となっています.
さて,ルベーグ積分を考えるには「集合の『長さ』」が鍵となります.
例えば「区間
集合
そこで,この記事では
- 外測度の定義
- 集合の外測度の具体例
を順に説明します.
「ルベーグ積分の基本」の一連の記事
- ルベーグ積分入門
- ルベーグ測度
- ルベーグ可測関数とルベーグ積分
外測度
外測度とは集合の長さを「外側」から測るものと言うことができるため,そのように名前が付いています.
区間の長さ
外測度を定義するために,まずは区間の長さを定義しておきましょう.
と表し
例えば,
というわけですね.
「なぜ右半開区間を考えるのか」というと,例えば
のように右半開区間であればピッタリと区間を繋げることができたりと扱いやすいことが理由です.
理論上は開区間でも,閉区間でも,左半開区間でも問題ないのですが,この一連の記事では右半開区間に対して長さを定義して話を進めます.
外測度の考え方
外測度の考え方を理解するために,まずは下図のような集合
集合
この
(集合
と言ってよさそうです.ただ,もっと「ゆとり」を小さく
この
(集合
と言ってよさそうです.
これでもまだ
外測度の定義
集合
が小さくなるようにすると,これは集合
この考え方で集合
集合
で定まる
ただし,
実数の連続性公理より
このことから,ルベーグ外測度
また,ルベーグ外測度の定義の
なお,「外測度」と呼ぶ理由は集合を右半開区間で「外側」から覆って「測る」ものだからですね.
外測度の具体例
いくつか簡単にルベーグ外測度が得られる具体例を考えてみましょう.
例1(空集合の外測度)
空集合
任意に
が成り立つ.
例2(有限集合の外測度)
有限集合
考え方は例1とほとんど同じです.
任意に
である.
よって,ルベーグ外測度の定義より
が成り立つ.
例3(可算無限集合の外測度)
可算無限集合
可算無限集合なので
しかし,例2と同じように長さが一定の右半開区間で覆うのでは,区間の長さの和が正の無限大
このような場合は和が等比級数となるように,どんどん小さくなる右半開区間を設定するとうまくいきます.
任意に
である.
よって,外測度の定義より
が成り立つ.
等比級数
例えば,整数全部の集合
が従いますね.さらに,冒頭で問題提起した集合
が成り立つことが分かりますね.
例4(区間の外測度)
右半開区間
直感的にはルベーグ外測度
しかし,左辺の
そのため,これらが等しいことは直ちに成り立つわけではありませんが,このことを証明するのがこの問題ですね.
また,
が成り立つ.
また,
が成り立つから,
証明中の「右半開区間
しかし,この証明は少々厄介なので,この一連の記事では省略します.証明が知りたい方は例えば序盤に紹介した参考文献を参照してください.
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