位相空間
大雑把に言えば「集合
なお,似た概念に連結性がありますが,実は「弧状連結なら連結」は成り立ちますが逆は成り立ちません.つまり,連結性の方が少し広い性質となっています.
この記事では
- 弧状連結性の定義
- 弧状連結な集合の具体例
を順に説明します.
なお,この記事では以下
位相空間をよく知らない方は
弧状連結の定義
弧状連結は「集合
この「2点を曲線で結べること」をきちんと述べるために,まずは連続曲線を定義しましょう.
連続曲線
直感的には連続曲線とは「ちぎれていない曲線」のことをいうのですが,数学的にきちんと定義するには次のようになります.
時刻0から時刻1まで集合
このことは,
このことから,次のように連続曲線を定義します.
集合
ただし,
「曲線」というと直感的には「1本に繋がって(描かれた)線」ですが,厳密にはこの定義のように写像のことをいうわけですね.
弧状連結
連続曲線を用いて弧状連結性を定義しましょう.
集合
要は集合
もし「離れ小島」があれば,異なる「島」に1点ずつとれば連続曲線で結べませんから,「ひとつに繋がっている」とは言えないというイメージですね.
弧状連結な集合の具体例
例1で弧状連結な集合を,例2で弧状連結でない集合を扱います.
例1(弧状連結な集合)
図から分かるように
きちんと示すには,任意の
任意に
このとき,
とすれば,
よって,定義を満たすので
例2(弧状連結でない集合)
とすると,
このため,
このことを示すには,連続曲線で繋ぐことのできない2点をとってくればいいですね.
背理法により示す.すなわち,
この仮定より
このとき,
しかし,
よって仮定は誤りなので,
参考文献
集合・位相入門
[松坂和夫 著/岩波書店]
本書は「集合論」「位相空間論」をこれから学ぶ人のための入門書です.
本書は説明が丁寧で行間が少ないテキストなので,初学者にとっても読みやすくなっています.
実際,本書は1968年に発刊されて以来売れ続けている超ロングセラーで,2018年に新装版が発売されたことからも現在でも広く使われていることが分かります.
具体例が多く扱われているのも特徴で,新しい概念のイメージも掴みやすいように書かれています.
また,各セクションの終わりに少なくない数の演習問題も載っており,演習書的な使い方もできます.
なお,本書については,以下の記事で書評としてまとめています.
【オススメの教科書|集合・位相入門(松坂和夫著,岩波書店)】
本書の目次・必要な知識・良い点と気になる点・オススメの使い方などをレビューしています.
集合と位相
[鎌田正良 著/近代科学社(現代数学ゼミナール)]
本書はすっきりと書かれた「集合論」「位相空間論」の教科書です.
簡潔な説明が多いので,集合と位相の基本の全体像をさらうのに適しています.
裏返せば簡潔すぎてかえって分かりにくい可能性もありますが,数学をきちんと学びたい人には是非読みこなして欲しいテキストです.
また,演習問題の解説も丁寧に書かれているので,この点は独学で学ぶ場合には重宝します.
背景にある位相の圏論的な性質も踏まえて解説されており,数学系の学生は是非とも理解しておきたい考え方です.
コメント
弧状連結の定義の部分で「すなわち, , を満たす 上の連続曲線 」は , では?
ありがとうございます!
ご指摘の通り当該部分は誤植だったので修正しました.