山本 拓人

関数解析

バナッハ空間とヒルベルト空間|完備でない部分空間の例

完備なノルム空間,完備な内積空間をそれぞれBanach空間,Hilbert空間といいます.Banach空間の部分空間,Hilbert空間の部分空間はそれぞれノルム空間,内積空間となりますが,完備になるとは限りません.この記事では,そのような完備でない部分空間の例を挙げます.
微分方程式

シュレディンガー方程式の分散性|基本解のLpLq評価の導出

シュレディンガー方程式の基本解に関してLpLq評価という基本的な不等式があります.LpLq評価はシュレディンガー方程式を考える上で重要なストリッカーツ評価のベースとなります.
書評

オススメ問題集|詳解と演習 大学院入試問題[数学](数理工学社)

本書は数学系の大学院入試のための問題集で,重要な頻出問題を中心に構成されています.基本事項の確認をしつつ標準レベルの問題に取り組むことができ,大学院入試を受けるかどうかにかかわらず基本の復習としても取り組みやすい問題集となっています.
集合論

ハメル基底とコーシーの関数方程式|$f(x+y)=f(x)+f(y)$

等式f(x+y)=f(x)+f(y)を満たす関数にはどんなものがあるでしょうか?たとえば単純な比例の関数f(x)=axはこの等式を満たしますが,他にはないのでしょうか?実は「ハメル基底」を用いることで,この等式を満たす比例でない関数が構成できます.
集合論

線形空間の基底・ハメル基底の存在|ツォルンの補題から証明する

無限次元のものも考えると線形空間はさまざまなものがあります.しかし,選択公理と同値なツォルンの補題を用いると「{0}でない任意の線形空間にも基底が存在する」ことを証明することができます.
代数学

代数学の基本|群・環・体の定義と具体例をゼロから解説

代数学において「群」「環」「体」は基本的な概念で,この3つを元に議論が進められることが非常に多いです.この記事では,群,環,体の定義を丁寧に考えてイメージを説明し,それらの具体例を挙げます.
関数解析

弱$L^p$有界性とマルチンキーヴィッツの実補間定理

Marcinkiewiczの実補間定理は,作用素Tが弱Lp有界かつ弱Lq有界(p<q)であるとき,任意のr∈(p,q)に対してTが強Lr有界になるという定理です.この記事ではMarcinkiewiczの実補間定理を証明しています.
微分積分学

ラグランジュの未定乗数法|直感的に当たり前になる考え方

「x+y=1上でf(x,y)の極値を求めたい」といったように,制約条件のもとでの関数の極値は単なる導関数だけでは求めることができません.この記事では,ラグランジュの未定乗数法の直感的な考え方を説明し,具体例を考えます.
微分方程式

線形シュレディンガー方程式の基本解とユニタリ群

非線形項が0のシュレディンガー方程式の初期値問題の解は,自由シュレディンガー発展作用素によって表される.この記事では,自由シュレディンガー発展作用素の基本性質として,LpLqノルムの評価式を導出する
線形代数学

ペロン・フロベニウスの定理|成分が正の行列の最大固有値

[ペロン・フロベニウスの定理]は「全ての成分が正の正方行列には最大実固有値が唯一存在し,全ての成分が正のベクトルはこの固有値に属する」という定理である.この定理は工学系や経済系の分野など,広く応用される.