【SPONSORED LINK】

線形代数6|行列の正則性を判定できる行列式のイメージ

前回の記事までで,行列とベクトルの基本的な考え方について説明しました.

とくに前回の記事では,正方行列$[\m{a}_1,\dots,\m{a}_n]$が正則であることと,$\m{a}_1,\dots,\m{a}_n$が線形独立であることを示しました.

これまでは線形独立性を確認するために$[\m{a}_1,\dots,\m{a}_n]$を基本変形を施してランクを求めてきましたが,別のアプローチで線形独立性を確認する方法を考えましょう.

そこで便利なのが正方行列の行列式です.

正方行列$[\m{a}_1,\dots,\m{a}_n]$の行列式のイメージは$\m{a}_1,\dots,\m{a}_n$が張る$n$次元立体の体積ですが,学ぶ段階の問題としていきなり$n$次元で考えるのは難しいでしょう.

そこで,この記事では

  • 2次正方行列の行列式の定義とイメージ
  • 一般の$n$次正方行列の行列式のイメージ

について説明します.

なお,この記事では実数$\R$を中心に説明しますが,複素数$\C$など一般の体に対しても同様です.

【SPONSORED LINK】

2次正方行列の行列式

最初に2次正方行列の行列式のイメージを説明します.

2つの線形独立なベクトル

前回の記事で定義した線形独立性について,次が成り立ちます.

$\m{a},\m{b}\in\R^{n}\setminus\{\m{0}\}$に対して次は同値である.

  1. $\m{a}$と$\m{b}$は平行である
  2. $\m{a}$と$\m{b}$は線形従属である

[$1\Ra2$の証明] $\m{a}$と$\m{b}$が平行なら,$\m{a}=k\m{b}$なる$k\in\R\setminus\{0\}$が存在する.

よって,$\m{a}-k\m{b}=\m{0}$となって$\m{a}$と$\m{b}$に非自明な線形関係が存在するから$\m{a}$と$\m{b}$は線形従属である.

[$2\Ra1$の証明] $\m{a}$と$\m{b}$が線形従属なら,非自明な線形関係$k\m{a}+\ell\m{b}=\m{0}$が存在する.

また,このとき$k=0$なら$\m{b}=\m{0}$だから$\ell=0$となって$k\m{a}+\ell\m{b}=\m{0}$が非自明な線形関係であることに矛盾するから$k\neq0$である.同様に$\ell\neq0$である.

よって,$\m{a}=-\frac{\ell}{k}\m{b}$となって$\m{a}$と$\m{b}$は平行である.

この命題の対偶を考えて,以下の系が従いますね.

$\m{a},\m{b}\in\R^{n}\setminus\{\m{0}\}$に対して次は同値である.

  1. $\m{a}$と$\m{b}$は平行でない
  2. $\m{a}$と$\m{b}$は線形独立である

線形独立性を大雑把に言えば「全てのベクトルが完全にバラバラな向きを向いていること」でしたから,このイメージとも一致させておいてください.

2次正方行列の行列式とイメージ

$\m{a}=[a_{1},a_{2}]^{T},\m{b}=[b_{1},b_{2}]^{T}\in\R^{2}\setminus\{\m{0}\}$が線形独立であるとします.

このとき,いま考えた系から$\m{a}$と$\m{b}$は平行ではありません.

よって,$\m{a}$と$\m{b}$によって張られる平行四辺形を考えると,この面積は0ではありません.

Rendered by QuickLaTeX.com

この平行四辺形の面積は$|a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1}|$ですから,$a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1}\neq0$が成り立ちます.

逆に,$a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1}=0$なら$\m{a}$と$\m{b}$が張る平行四辺形は面積が0となって「潰れて」しまいます.

すなわち,$\m{a}$と$\m{b}$は平行となって,$\m{a}$と$\m{b}$は線形従属となります.

このことを念頭に置き,以下のように定義しよう.

$A=\bmat{a&b\\c&d}\in\Mat_{2}(\R)$に対し,$ad-bc$を$A$の行列式 (determinant)といい,$|A|$や$\det{A}$などと表す.

この定義の上で考えたことから,以下が成り立ちます.

$A\in\Mat_{2}(\R)$に対して,以下は同値である.

  1. $A$は正則である.
  2. $|A|\neq0$が成り立つ.

例えば,$A,B,C\in\Mat_{2}(\R)$を

\begin{align*} A:=\bmat{1&2\\3&4},\quad B:=\bmat{1&1\\2&2},\quad C:=\bmat{0&-2\\3&\pi} \end{align*}

と定めると,

\begin{align*} & |A|=1\cdot4-2\cdot3=-2, \\& |B|=1\cdot2-1\cdot2=0, \\& |C|=0\cdot\pi-(-2)\cdot3=6 \end{align*}

が成り立つので,$A$, $C$は正則,$B$は非正則と分かります.

3次以上の正方行列の行列式

2次の場合のイメージがあれば,$A=[\m{a},\m{b},\m{c}]\in\Mat_{3}(\R)$に対しては,$\m{a}$, $\m{b}$, $\m{c}$が張る平行六面体の体積に相当するものを$|A|$と定めれば,$\m{a}$, $\m{b}$, $\m{c}$が線形独立でないことと$|A|=0$は同値であることが分かりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

もし$\m{a}$, $\m{b}$, $\m{c}$が同一平面上にあれば,平行六面体は「潰れて」体積が0となりますね.

一般に,$A=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}]\in\Mat_{n}(\R)$に対しては,$\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}$が張る「平行立体の$n$次元体積」に相当するものを$|A|$と定めれば,$\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}$が線形独立でないことと$|A|=0$は同値となります.

しかし,4以上の$n\in\N$に対して「平行立体の$n$次元体積」を考えるのは簡単なことではありません.

そこで,我々は体積という幾何学的なアプローチから離れて,置換という代数的な概念を用いて行列式を定義します.

次の記事では,置換について説明します.

最後までありがとうございました!

参考になった方は是非シェアをお願いします!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

以下の関連記事もいかがですか?

SPONSORED LINK
関連記事

記事一覧はこちらからどうぞ!

記事一覧は

こちら

Twitterを

フォロー

大学院入試

解答例

大学受験

解説ブログ