【SPONSORED LINK】

線形代数5|線形独立のイメージと線形独立性とランクの関係

行列に関して重要な量として,ランク(階数)がありました.

ランクを考えることで

  • 正方行列が正則であるための条件
  • 連立1次方程式が解を持つための条件

などが分かるのでした.

前回の記事まででは,このランク(階数)は基本変形によって考えてきましたが,ベクトルの線形独立という考え方をもとにしても考えることができます.

線形独立性はとても重要な概念で,線形代数学全体において頻繁に現れます.

この記事では

  • ベクトルの線形独立を定義し
  • 線形独立性と行列のランクの関係

を説明します.

なお,この記事では実数\Rを中心に説明しますが,複素数\Cなど一般の体に対しても同様です.

【SPONSORED LINK】

線形独立

ベクトル\m{a}_1,\dots,\m{a}_nが線形独立であるとは,平たく言えば「それぞれのベクトルが完全にバラバラな向きを向いていること」をいいます.

このことを定式化するために,まずは線形関係について説明します.

線形関係

ベクトルの線形結合は以下のように定義されます.

\m{a}_1,\dots,\m{a}_n\in\R^{n}の関係

\begin{align*} c_1\m{a}_1+\dots+c_n\m{a}_n=\m{0} \quad(c_{1},\dots,c_{n}\in\R) \end{align*}

\m{a}_1,\dots,\m{a}_nの(\R上の)線形関係 (linear relation)という.さらに,\m{a}\in\R^{n}

\begin{align*} \m{a}=c_1\m{a}_1+\dots+c_n\m{a}_n \end{align*}

と表せるとき,\m{a}\m{a}_1,\dots,\m{a}_nの(\R上の)線形結合 (linear combination)で表せるという.

任意の\m{a}_1,\dots,\m{a}_n\in\R^{n}に対して,

\begin{align*} 0\cdot\m{a}_1+\dots+0\cdot\m{a}_n=\m{0} \end{align*}

はいつでも成り立つので,\m{a}_1,\dots,\m{a}_nの線形関係はいつでも存在することが分かります.

この係数が全て0の線形関係を自明な線形関係 (trivial linear relation)といいます.

よって,少なくとも1つの係数が0でない線形関係である非自明な線形関係 (nontrivial linear relation)が存在するかどうかが問題となります.

例1

\m{a},\m{a}_1,\m{a}_2,\m{a}_3\in\R^2

\begin{align*} \m{a}=\bmat{1\\3},\quad \m{a}_1=\bmat{1\\0},\quad \m{a}_2=\bmat{1\\1},\quad \m{a}_3=\bmat{1\\2} \end{align*}

で定めると,

\begin{align*} \m{a}=2\m{a}_1+(-5)\m{a}_2+4\m{a}_3 \end{align*}

なので,\m{a}\m{a}_1, \m{a}_2, \m{a}_3の線形結合で表すことができます.他にも,

\begin{align*} \m{a}=(-2)\m{a}_1+3\m{a}_2 =(-1)\m{a}_2+2\m{a}_3 \end{align*}

など\m{a}\m{a}_1,\m{a}_2の線形結合,\m{a}_2,\m{a}_3の線形結合でも表すことができます.

このように,線形結合での表し方は1通りとは限りません.

例2

x, y, zに関する連立方程式

\begin{align*} \begin{cases} x+2y+3z=6\\ 4x+5y+6z=9\\ 7x+8y+9z=12 \end{cases} \end{align*}

を考えます.この連立方程式は

\begin{align*} \m{a}_1:=\bmat{1\\4\\7},\quad \m{a}_2:=\bmat{2\\5\\8},\quad \m{a}_3:=\bmat{3\\6\\9},\quad \m{c}:=\bmat{6\\9\\12} \end{align*}

とおくと,x\m{a}_1+y\m{a}_2+z\m{a}_3=\m{c}と表せます.

このことから,この連立方程式を解くことは「\m{a}_1, \m{a}_2, \m{a}_3の線形結合x\m{a}_1+y\m{a}_2+z\m{a}_3\m{c}を表す」ということと同じであることが分かります.

線形独立

いまの例2のように,一般に\m{x}の連立1次方程式A\m{x}=\m{c}は,A=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}]とおけば

\begin{align*} x_1\m{a}_1+\dots+x_n\m{a}_n=\m{c} \end{align*}

と表せますから,

  • 連立方程式A\m{x}=\m{c}を解くこと
  • \m{a}_1,\dots,\m{a}_n\in\R^{n}の線形結合で\m{c}を表す

は同じことだと分かりますね.

ここで,線形独立性を定義します.

\m{a}_1,\dots,\m{a}_n\in\R^{n}の線形関係が自明な線形関係のみもつとき,すなわち

\begin{align*} x_1\m{a}_1+\dots+x_n\m{a}_n=\m{0} \end{align*}

を満たす(x_1,\dots,x_n)x_1=\dots=x_n=0のみであるとき,\m{a}_1,\dots,\m{a}_n線形独立 (linearly independent)であるという.

一方,\m{a}_1,\dots,\m{a}_nが線形独立でないとき,\m{a}_1,\dots,\m{a}_n線形従属 (linearly dependent)であるという.

言い換えれば,上で考えた連立方程式A\m{x}=\m{c} (A=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}])で\m{c}=\m{0}の場合に,自明な解\m{x}=\m{0}しか存在しないとき,\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}は線形独立であるというわけですね.

例1

i成分が1で,他の成分が全て0であるような\R^nのベクトルを\m{e}_iとし,\m{e}_{1},\dots,\m{e}_{n}\in\R^{n}の線形関係を考えます.

このとき,線形関係a_{1}\m{e}_{1}+\dots+a_{n}\m{e}_{n}=\m{0}を考えると,両辺成分で表して

\begin{align*} \bmat{a_{1}\\\vdots\\a_{n}}=\bmat{0\\\vdots\\0} \end{align*}

だからa_{1}=\dots=a_{n}=0となって,\m{e}_{1},\dots,\m{e}_{n}の線形関係は自明な線形関係のみであることが分かります.

よって,\m{e}_{1},\dots,\m{e}_{n}は線形独立ですね.

例2

\m{a}_{1}=[1,2]^{T},\m{a}_{2}=[1,3]^{T}\in\R^2の線形関係c_{1}\m{a}_{1}+c_{2}\m{a}_{2}=\m{0}を考えると,

\begin{align*} \begin{cases} c_{1}+c_{2}=0\\ 2c_{1}+3c_{2}=0 \end{cases} \iff c_{1}=c_{2}=0 \end{align*}

となるので,\m{a}_{1},\m{a}_{2}には自明な線形関係しか存在せず,\m{a}_{1},\m{a}_{2}は線形独立であることが分かりました.

例3

\m{a}_{1}=[1,2]^{T},\m{a}_{2}=[2,4]^{T}\in\R^2の線形関係c_{1}\m{a}_{1}+c_{2}\m{a}_{2}=\m{0}を考えると,

\begin{align*} \begin{cases} c_{1}+2c_{2}=0\\ 2c_{1}+4c_{2}=0 \end{cases} \iff& c_{1}+2c_{2}=0 \\\iff& (c_{1},c_{2})=(-2c,c)\quad (c\in\R) \end{align*}

が得られます.

したがって,例えばc=1として非自明な線形関係-2\m{a}_{1}+\m{a}_{n}=\m{0}が得られ,\m{a}_1, \m{a}_2が線形従属であることが分かりました.

線形独立性とランク

次に,線形独立性と行列のランクの関係を説明します.

線形関係と基本変形

ここで,「行列を構成する列ベクトルの線形関係は行基本変形によって変化しない」という次の補題は非常に重要です.

行基本変形により行列[A,\m{c}]=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n},\m{c}]が行列B=[\m{b}_{1},\dots,\m{b}_{n},\m{d}]になったとする.このとき,次は同値である.

  1. 線形関係p_{1}\m{a}_{1}+\dots+p_{n}\m{a}_{n}=\m{c}が成り立つ.
  2. 線形関係p_{1}\m{b}_{1}+\dots+p_{n}\m{b}_{n}=\m{d}が成り立つ.

\m{p}=[p_{1},\dots,p_{n}]^Tとすると,

  • (1)\iff A\m{p}=\m{0}
  • (2)\iff B\m{p}=\m{0}

である.すなわち,(1)は\m{p}A\m{x}=\m{0}の解であることと同値であり,(2)は\m{p}B\m{x}=\m{0}の解であることと同値である.

行基本変形によって,拡大係数行列[A,\m{c}][B,\m{d}]になったときA\m{x}=\m{c}の解とB\m{x}=\m{d}の解は一致するから,\m{c}A\m{x}=\m{0}の解であることと\m{c}B\m{x}=\m{0}の解であることは同値である.

よって,(1)\iff(2)が従う.

なお,途中で用いた「拡大係数行列[A,\m{c}][B,\m{d}]になったときA\m{x}=\m{c}の解とB\m{x}=\m{d}の解は一致すること」は前回の記事で証明しています.

線形結合とランク

この補題によって,次の定理が得られます.

行列A=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}]\m{c}\in\R^{n}に対して,次が成り立つ.

  1. \rank{A}<\rank{[A,\m{c}]}が成り立つことと,\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}の線形結合で\m{c}を表せないことは同値である.
  2. \rank{A}=\rank{[A,\m{c}]}が成り立つことと,\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}の線形結合で\m{c}を表せることは同値である.

[A,\m{c}]の簡約化を[B,\m{d}]=[\m{b}_{1},\dots,\m{b}_{n},\m{d}]とする.

このとき,\rank{B}\le\rank{[B,\m{d}]}が成り立つことに注意すると,行基本変形によるランクの不変性と併せて

\begin{align*} \rank{A}=\rank{B}\le\rank{[B,\m{d}]}=\rank{[A,\m{c}]} \end{align*}

が成り立つ.よって,\rank{A}\rank{[A,\m{c}]}の関係は

  • \rank{A}<\rank{[A,\m{c}]}
  • \rank{A}=\rank{[A,\m{c}]}

のいずれかとなる.

(1) \rank{A}<\rank{[A,\m{c}]}のとき,\rank{B}<\rank{[B,\m{d}]}なので,\m{b}_{1},\dots,\m{b}_{n}の線形結合で\m{d}を表せない.

よって,上の補題より\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}の線形結合で\m{c}を表せない.

(2) \rank{A}=\rank{[A,\m{c}]}のとき,\rank{B}=\rank{[B,\m{d}]}なので,Bの主成分が存在する列に対応するk個の\m{b}_{i}は線形独立で,これらの線形結合で\m{d}が表せる.

これで,(1), (2)の必要性が示された.

逆に,(1)の必要性の対偶をとれば(2)の十分性が従い,(2)の必要性の対偶をとれば(1)の十分性が従う.

A\in\Mat_{mn}(\R)に対して,N:=\rank{A}をみたすとする.このとき,\m{a}_1,\dots,\m{a}_nの適当なN個は線形独立で,それらの線形結合で残りのn-N個のベクトルが表せる.

Aの簡約化をBとすると,\rank{B}=\rank{A}=NなのでBの主成分はN個あるから,Bの主成分が存在しない列は(n-N)個ある.

このBの主成分が存在する列を\m{b}_1,\dots,\m{b}_Nとすると,これらは線形独立である.

また,Bの主成分が存在しない列は\m{b}_1,\dots,\m{b}_Nの線形結合で表せる.

この定理と系は,前回の記事で説明した連立一次方程式の解の存在とランクの関係と対応しています.

例1

\m{e}_1,\m{e}_2,\m{c}\in\R^3

\begin{align*} \m{e}_{1}=\bmat{1\\0\\0},\quad \m{e}_{2}=\bmat{0\\1\\0},\quad \m{c}=\bmat{c_1\\c_2\\c_3} \end{align*}

で定めます.

前回の記事で説明したことから,連立方程式x\m{e}_{1}+y\m{e}_{2}=\m{c}の解が存在するためには,係数行列[\m{e}_1,\m{e}_2]と拡大係数行列[\m{e}_1,\m{e}_2,\m{c}]のランクが一致することが必要十分なのでしたから,

\begin{align*} &\rank{[\m{e}_{1},\m{e}_{2}]}=\rank{[\m{e}_{1},\m{e}_{2},\m{c}]} \\\iff&2=\rank{\bmat{1&0&c_{1}\\0&1&c_{2}\\0&0&c_{3}}} \\\iff& c_{3}=0 \end{align*}

のときに,解が存在します.

同じく連立方程式x\m{e}_{1}+y\m{e}_{2}=\m{c}の解が存在を,いま考えた定理を上の定理を用いて解釈すると以下のようになります.

\m{e}_{1}, \m{e}_{2}xyz空間におけるxy平面上のベクトルをとして図示できますから,下図のように\m{c}xy平面上にあればx,y\in\Rが存在してx\m{e}_1+y\m{e}_2=\m{c}と表せます.

Rendered by QuickLaTeX.com

一方で,\m{e}_{1}, \m{e}_{2}xy平面上にないベクトルは線形結合で表せませんから,もし\m{c}xy平面上になければ,x\m{e}_1+y\m{e}_2=\m{c}とは表せません.

したがって,連立方程式x\m{e}_{1}+y\m{e}_{2}=\m{c}の解をもつための必要十分条件はc_3=0と分かり,ランクを用いて考えた結果と確かに一致しますね.

確かに

  • 連立方程式x\m{e}_{1}+y\m{e}_{2}=\m{c}が解をもつこと
  • \m{e}_1\m{e}_2の線形結合で\m{c}が表せること

が同値であることがみてとれますね.

例2

\m{a}_1,\dots,\m{a}_5\in\R^4

\begin{align*} \m{a}_1=\bmat{1\\1\\3\\0},\quad \m{a}_2=\bmat{1\\2\\0\\-1},\quad \m{a}_3=\bmat{1\\3\\-3\\-2},\quad \m{a}_4=\bmat{-2\\-4\\1\\-1},\quad \m{a}_5=\bmat{-1\\-4\\7\\0} \end{align*}

とし,これらのうちの線形独立なベクトルで,他のベクトルを表すことを考えます.

A=[\m{a}_1,\m{a}_2,\m{a}_3,\m{a}_4,\m{a}_5]とすると,行基本変形により

\begin{align*} A=&\bmat{1&1&1&-2&-1\\1&2&3&-4&-4\\3&0&-3&1&7\\0&-1&-2&-1&0} \to\bmat{1&1&1&-2&-1\\0&1&2&-2&-3\\0&-3&-6&7&10\\0&-1&-2&-1&0} \\\to&\bmat{1&0&-1&-3&-1\\0&0&0&-3&-3\\0&0&0&10&10\\0&-1&-2&-1&0} \to\bmat{1&0&-1&-3&-1\\0&0&0&1&1\\0&0&0&1&1\\0&1&2&1&0} \\\to&\bmat{1&0&-1&0&2\\0&0&0&1&1\\0&0&0&0&0\\0&1&2&0&-1} \to B:=\bmat{1&0&-1&0&2\\0&1&2&0&-1\\0&0&0&1&1\\0&0&0&0&0} \end{align*}

です.B[\m{b}_1,\m{b}_2,\m{b}_3,\m{b}_4,\m{b}_5]とすると,

\begin{align*} \m{b}_{1}=\bmat{1\\0\\0\\0},\quad \m{b}_{2}=\bmat{0\\1\\0\\0},\quad \m{b}_{3}=\bmat{-1\\2\\0\\0},\quad \m{b}_{4}=\bmat{0\\0\\1\\0},\quad \m{b}_{5}=\bmat{2\\-1\\1\\0} \end{align*}

なので,\m{b}_1, \m{b}_2, \m{b}_4は線形独立で,

\begin{align*} \begin{cases} \m{b}_3=-\m{b}_1-2\m{b}_2\\ \m{b}_5=2\m{b}_1-\m{b}_2+\m{b}_4 \end{cases} \end{align*}

\m{b}_{3}, \m{b}_{5}はともに\m{b}_1, \m{b}_2, \m{b}_4は線形結合で表せます.

補題から行基本変形は列ベクトル線形関係を保つので,\m{a}_1, \m{a}_2, \m{a}_4は線形独立で,

\begin{align*} \begin{cases} \m{a}_3=-\m{a}_1-2\m{a}_2\\ \m{a}_5=2\m{a}_1-\m{a}_2+\m{a}_4 \end{cases} \end{align*}

が成り立つ.

線形独立なベクトルの最大個数

以上より,Aの列ベクトルのうち線形独立なベクトルの個数と\rank{A}が等しいことがみてとれます.

すなわち,上で考えた系は以下のようにも述べることができる.

[線形独立なベクトルの最大個数] \m{a}_{1},\dots,\m{a}_{m}\in\R^{n}の線形独立なベクトルの最大個数と,\rank{[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{m}]}は等しい.

この定理により正方行列が正則である(逆行列を持つ)ための必要十分条件を与える次の系が従う.

A=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}]\in\Mat_{n}(\R)に対して,次は同値である.

  1. Aは正則である.
  2. \m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}は線形独立である.

Aが正則であることと\rank{A}=nは同値であった.

さらに,上の定理[線形独立なベクトルの最大個数]から,\rank{A}=n\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}の線形独立なベクトルの最大個数がnであること,すなわち\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}が線形独立であることと同値である.

なお,Aが正則であることと\rank{A}=nが同値であることは前々回の記事を参照してください.

さて,連立方程式をもとに理論を組み立てる都合上,ほとんど行基本変形によって話を進めてきました.

とくに行基本変形による簡約行列の主成分の個数をランクの定義としましたが,列基本変形によっても同様にランクの定義ができます.

さて,これまで通りの行基本変形によるランクの定義と,列基本変形によるランクの定義が一致するかどうかは明らかではありませんが,実はこれらは一致します.

行列Aの列基本変形は転置行列A^Tの行基本変形と同じことなので,以下を示せば良いですね.

A\in\Mat_{mn}(\R)に対して,\rank{A}=\rank{A^{T}}が成り立つ.

k:=\rank{A}, \ell:=\rank{A^{T}}とし,A=BCを満たすB=(b_{ij})\in\Mat_{mr}(\R), C=(c_{ij})\in\Mat_{rn}(\R)が存在するような最小のr\in\Nをとる.

このとき,k=r\ell=rを示せば\rank{A}=\rank{A}^{T}が従う.以下,

\begin{align*} A=(a_{ij})=[\m{a}_{1},\dots,\m{a}_{n}]=\bmat{\m{a}'_{1}\\\vdots\\\m{a}'_{m}},\quad B=(b_{ij})=[\m{b}_{1},\dots,\m{b}_{r}],\quad C=(c_{ij})=\bmat{\m{c}_{1}\\\vdots\\\m{c}_{r}} \end{align*}

とする.

まずはk\le rr\le kを示すことにより,k=rを示す.

\begin{align*} A=BC =\bmat{\sum_{i=1}^{r}b_{1i}c_{i1}&\dots&\sum_{i=1}^{r}b_{1i}c_{in}\\ \vdots&\ddots&\vdots\\ \sum_{i=1}^{r}b_{mi}c_{i1}&\dots&\sum_{i=1}^{r}b_{mi}c_{in}} =\brc{\sum_{i=1}^{r}c_{i1}\m{b}_{i},\dots,\sum_{i=1}^{r}c_{in}\m{b}_{i}} \end{align*}

となるから,Aの列ベクトルは全て\m{b}_{1},\dots,\m{b}_{r}の線形結合で表せるから,k\le rが成り立つ.

一方,Aの線形独立な列ベクトル\m{a}_{n_{1}},\dots,\m{a}_{n_{k}}がとれ,\m{a}_{n_{1}},\dots,\m{a}_{n_{k}}の線形結合でAの全ての列ベクトルを表せる.

\m{a}_{j}=\sum_{i=1}^{k}x_{ij}\m{a}_{n_{i}} (j=1,\dots,n)とすると,

\begin{align*} A=&\brc{\sum_{i=1}^{k}x_{i1}\m{a}_{n_{i}},\dots,\sum_{i=1}^{k}x_{in}\m{a}_{n_{i}}} \\=&\bmat{\sum_{i=1}^{k}x_{i1}a_{1n_{i}}&\dots&\sum_{i=1}^{k}x_{in}a_{1n_{i}}\\ \vdots&\ddots&\vdots\\ \sum_{i=1}^{k}x_{i1}a_{mn_{i}}&\dots&\sum_{i=1}^{k}x_{in}a_{mn_{i}}} \\=&\bmat{a_{1n_{1}}&\dots&a_{1n_{k}}\\ \vdots&\ddots&\vdots\\ a_{mn_{1}}&\dots&a_{mn_{k}}} \bmat{x_{11}&\dots&x_{1n}\\ \vdots&\ddots&\vdots\\ x_{k1}&\dots&x_{kn}} \end{align*}

が成り立つから,rの最小性よりr\le kを得る.よって,k=rが従う.

列と行を入れ替えて考えれば,同様に\ell=rが従う.

以上より,次の系が成り立つことが分かります.

行列Aについて,以下は同値である.

  1. \rank{A}=n
  2. Aの列ベクトルで線形独立なものの最大個数はn
  3. Aの行ベクトルで線形独立なものの最大個数はn

次の記事からは,正方行列の正則性を判定できる行列式を説明します.

行列式を定義するためには置換という概念を用いることになりますが,いきなり置換を導入すると「なぜこのようなものが必要なのか」と困惑してしまいがちです.

そこで,次の記事では行列式の幾何学的なイメージを説明します.

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

最後までありがとうございました!

以下の関連記事もいかがですか?

SPONSORED LINK
関連記事

記事一覧はこちらからどうぞ!

記事一覧は

こちら

Twitterを

フォロー

大学院入試

解答例

大学受験

解説ブログ