線形代数7|行列式を定義するための置換の性質を理解する

前回の記事では正方行列$A=[\m{a}_1,\dots,\m{a}_n]$の行列式$|A|$のイメージについて説明し

  • $\m{a}_1,\dots,\m{a}_n$が線形独立であること
  • $|A|\neq0$をみたすこと

は同値となりそうであることを説明しました(このことは次の記事で証明します).

また,以前の記事で既に説明したように

  • $\m{a}_1,\dots,\m{a}_n$が線形独立であること
  • $A$が正則であること

が同値でしたから,結局は行列式$|A|$が0であるか否かを考えることにより$A$の正則性を判定することができます.

さて,行列式のイメージが$n$次元の立体であるといっても,$n$次元を考えるのは難しいため実際に行列式$|A|$を定義するには置換を用いることがほとんどです.

この記事では,置換の考え方と性質を説明します.

置換の定義と基本性質

この記事では

  • $n$を2以上の整数
  • 集合$M_{n}$を$M_n:=\{1,\dots,n\}$

とします.

置換の定義

まずは置換を定義します.

全単射$\sigma:M_n\to M_n$を$M_{n}$上の置換 (permutation)といい,

\begin{align*} \sigma= \pmat{1&2&\dots&n\\ \sigma(1)&\sigma(2)&\dots&\sigma(n)} \end{align*}

と表し,$M_{n}$上の置換全体の集合を$S_{n}$と表す.

また,恒等写像$M_n\to M_n$を単位置換 (identity permutation)という.さらに,$\sigma\in S_{n}$の逆写像を逆置換 (innverse permutation)といい$\sigma^{-1}$で表す.

例えば,$\sigma\in S_{3}$, $\tau\in S_{4}$を$\sigma=\pmat{1&2&3\\2&3&1}$, $\tau=\pmat{1&2&3&4\\4&3&2&1}$で定めると,

\begin{align*} & \sigma(1)=2,\quad \sigma(2)=3,\quad \sigma(3)=1 \\& \tau(1)=4,\quad \tau(2)=3,\quad \tau(3)=2,\quad \tau(4)=1 \end{align*}

であり,

\begin{align*} &\sigma^{-1}=\pmat{2&3&1\\1&2&3}=\pmat{1&2&3\\3&1&2}, \\&\tau^{-1}=\pmat{4&3&2&1\\1&2&3&4}=\pmat{1&2&3&4\\4&3&2&1} \end{align*}

ですね.

置換の積

置換は写像なので,置換の合成は結合法則が成り立ちます.

$\sigma,\tau\in S_{n}$に対して,写像の合成$\sigma\circ\tau$を$\sigma$と$\tau$の積 (product)といい,$\sigma\cdot\tau$や$\cdot$を省略して$\sigma\tau$と表す.

この積により$S_n$はとなり,$n$次対称群と呼ばれます.群については以下の記事を参照してください.

例1

単位置換を$\epsilon\in S_{n}$とすると,任意の$\sigma\in S_{n}$に対し,

\begin{align*} \sigma\cdot\sigma^{-1}= \sigma^{-1}\cdot\sigma= \epsilon \end{align*}

である.

例2

$\sigma,\tau\in S_n$を$\sigma=\pmat{1&2&3\\2&1&3}$, $\tau=\pmat{1&2&3\\3&1&2}$で定めると,

\begin{align*} &\begin{cases} \sigma\cdot\tau(1)=\sigma\bra{\tau(1)}=\sigma(3)=3\\ \sigma\cdot\tau(2)=\sigma\bra{\tau(2)}=\sigma(1)=2\\ \sigma\cdot\tau(3)=\sigma\bra{\tau(3)}=\sigma(2)=1 \end{cases}, \\&\begin{cases} \tau\cdot\sigma(1)=\tau\bra{\sigma(1)}=\tau(2)=1\\ \tau\cdot\sigma(2)=\tau\bra{\sigma(2)}=\tau(1)=3\\ \tau\cdot\sigma(3)=\tau\bra{\sigma(3)}=\tau(3)=2 \end{cases} \end{align*}

だから,$\sigma\cdot\tau=\pmat{1&2&3\\3&2&1}$, $\tau\cdot\sigma=\pmat{1&2&3\\1&3&2}$となります.

この例からも分かるように,一般に置換の積は可換とは限りません.

置換の基本性質

置換の2つの基本性質を述べます.

$S_{n}=\set{\sigma^{-1}}{\sigma\in S_{n}}$が成り立つ.

任意の$\sigma\in S_{n}$に対して,$\sigma:M_n\to M_n$は全単射だから$\sigma^{-1}:M_n\to M_n$なので,$\sigma^{-1}\in S_n$である.

よって,$S_n$が有限集合であることから,$S_n\to S_n;\sigma\longmapsto\sigma^{-1}$が単射であることを示せばよい.

$\sigma_{1},\sigma_{2}\in S_{n}$が$\sigma_{1}^{-1}=\sigma_{2}^{-1}$を満たせば,

\begin{align*} \sigma_{1} =(\sigma_{1}^{-1})^{-1} =(\sigma_{2}^{-1})^{-1} =\sigma_{2} \end{align*}

が成り立つ.よって,単射なので$S_{n}=\set{\sigma^{-1}}{\sigma\in S_{n}}$が従う.

任意の$\sigma\in S_{n}$に対して,$S_{n}=\set{\sigma\tau}{\tau\in S_{n}}=\set{\tau\sigma}{\tau\in S_{n}}$が成り立つ.

任意の$\tau\in S_{n}$に対して,$\tau:M_n\to M_n$は全単射だから$\sigma\tau:M_n\to M_n$も全単射なので,$\sigma\tau\in S_n$である.

よって,$S_n$が有限集合であることから,$S_n\to S_n;\tau\longmapsto\sigma\tau$が単射であることを示せばよい.

$\tau_{1},\tau_{2}\in S_{n}$が$\sigma\tau_{1}=\sigma\tau_{2}$を満たせば,

\begin{align*} \tau_{1} =(\sigma^{-1}\sigma)\tau_{1} =\sigma^{-1}(\sigma\tau_{1}) =\sigma^{-1}(\sigma\tau_{2}) =(\sigma^{-1}\sigma)\tau_{2} =\tau_{2} \end{align*}

が成り立つ.よって,単射なので$S_{n}=\set{\sigma\tau}{\tau\in S_{n}}$が従う.

同様に$S_{n}=\set{\tau\sigma}{\tau\in S_{n}}$も従う.

これら2つの命題を言葉で説明すれば,

  • $\sigma$を$S_n$全体で漏れなく重複なく動かすとき,$\sigma^{-1}$も$S_n$全体を漏れなく重複なく動く
  • $\sigma\in S_n$を固定し,$\tau$を$S_n$全体で漏れなく重複なく動かすとき,$\sigma\tau$, $\tau\sigma$も$S_n$全体を漏れなく重複なく動く

ということになりますね.

巡回置換

次に,巡回置換を説明します.

$S_{n}$の元

\begin{align*} \pmat{ k_1&k_2&\dots&k_{r-1}&k_r&k_{r+1}&\dots&k_n\\ k_2&k_3&\dots&k_r&k_1&k_{r+1}&\dots&k_n } \end{align*}

巡回置換 (cyclic permutation)といい,$(k_1,k_2,\dots,k_r)$と表す.

例えば,巡回置換$\sigma=(1,2,4)\in S_{6}$は,

\begin{align*} \sigma =\pmat{1&2&4&3&5&6\\2&4&1&3&5&6} =\pmat{1&2&3&4&5&6\\2&4&3&1&5&6} \end{align*}

です.つまり,$\sigma=(1,2,4)$は1,2,4をこの順に1つずつずらし,3,5,6を変えない置換ですね.

巡回置換$\sigma=(m_{1},\dots,m_{k}),\tau=(m_{1}’,\dots,m_{\ell}’)\in S_{n}$が同じものを巡回させないとき,すなわち

\begin{align*} \{m_{1},\dots,m_{k}\}\cap\{m_{1}',\dots,m_{\ell}'\}=\emptyset \end{align*}

であるとき,$\sigma\tau=\tau\sigma$が成り立つ.

任意の$m\in M_{n}$に対して,$\sigma\tau(m)=\tau\sigma(m)$が成り立つことを示せばよい(一般に集合$X$を定義域とする写像$f$, $g$が等しいとは,任意の$x\in X$に対して$f(x)=g(x)$が成り立つことをいう).

  • $m\in\{m_{1},\dots,m_{k}\}$のとき,条件から$\tau$は$m$, $\sigma(m)$を巡回させないから

    \begin{align*} \sigma\tau(m) =\sigma(m) =\tau\sigma(m) \end{align*}

  • $m\in\{m_{1}’,\dots,m_{\ell}’\}$のとき,同様に$\sigma\tau(m)=\tau\sigma(m)$
  • $m\notin\{m_{1},\dots,m_{k},m_{1}’,\dots,m_{\ell}’\}$のとき

    \begin{align*} \sigma\tau(m) =\sigma(m) =m =\tau(m) =\tau\sigma(m) \end{align*}

が成り立つ.

よって,任意の$m\in M_{n}$に対して$\sigma\tau(m)=\tau\sigma(m)$が成り立つから,$\sigma\tau=\tau\sigma$が従う.

例えば,$\sigma\in S_{8}$を

\begin{align*} \sigma=\pmat{1&2&3&4&5&6&7&8\\3&6&4&1&2&5&8&7} \end{align*}

で定めます.この$\sigma$は以下のように巡回置換の積で表すことができます.

  • まず1に繰り返し$\sigma$を施すと,$1\to3\to4\to1$となり,1,3,4で循環する.
  • 1,3,4でない$M_{8}$の元,例えば2に繰り返し$\sigma$を施すと,$2\to6\to5\to2$となり,2,6,5で循環する.
  • 1,3,4,2,5,6でない$M_{8}$の元,例えば7に繰り返し$\sigma$を施すと,$7\to8\to7$となり,7,8で循環する.

このように考えれば,$\sigma=(1,3,4)(2,5,6)(7,8)$として巡回置換の積で表されます.

また,上の命題より,$\sigma$をなす巡回置換$(1,3,4)$, $(2,5,6)$, $(7,8)$は入れ替えても等しいですね:

\begin{align*} \sigma =&(1,3,4)(2,5,6)(7,8) =(1,3,4)(7,8)(2,5,6) \\=&(2,5,6)(1,3,4)(7,8) =(7,8)(1,3,4)(2,5,6) \\=&(2,5,6)(7,8)(1,3,4) =(7,8)(2,5,6)(1,3,4) \end{align*}

この例のように,置換$\sigma$が巡回させるものでまとめて巡回置換を考えれば,次の定理が成り立つことが分かりますね.

任意の$\sigma\in S_{n}$は同じものを巡回させない巡回置換の積で表せる.

互換

続いて,巡回置換を説明します.

ちょうど2つの元を巡回させる巡回置換を互換 (transposition)という.

$i$, $j$を入れ替える互換は,$i$, $j$を巡回させる巡回置換なので$(i,j)$と表せますね.

次は巡回置換と互換の積を結び付ける重要な命題です.

$S_{n}$の任意の巡回置換は互換の積として表される.

$\sigma\in S_{n}$を巡回置換とし,$\sigma=(m_{1},\dots,m_{k})$とする($m_{1},\dots,m_{k}\in M_{n}$).

このとき,互換$\tau_{i}:=(m_{1},m_{i})$ $(i=2,3,\dots,k)$の積として,$\sigma=\tau_{k}\dots\tau_{3}\tau_{2}$と表せることを以下で示す.

すなわち,任意の$i\in M_{n}$に対して,$\sigma(i)=\tau_{k}\dots\tau_{3}\tau_{2}(i)$が成り立つことを示す.

  • $i\in\{1,\dots,k-1\}$のとき

    \begin{align*} &\tau_{k}\dots\tau_{i+1}\tau_{i}\dots\tau_{3}\tau_{2}(m_{i}) \\=&\tau_{k}\dots\tau_{i}(m_{i}) =\tau_{k}\dots\tau_{i+1}(m_{1}) \\=&\tau_{k}\dots\tau_{i+2}(m_{i+1}) =m_{i+1} =\sigma(i) \end{align*}

  • $i=k$のとき

    \begin{align*} \tau_{i}\tau_{i-1}\dots\tau_{3}\tau_{2}(m_{i}) =&\tau_{k}\tau_{k-1}\dots\tau_{3}\tau_{2}(m_{k}) \\=&\tau_{k}(m_{k}) =m_{1} =\sigma(m_{k}) \end{align*}

  • $i\notin\{1,\dots,k\}$のとき

    \begin{align*} \tau_{k}\tau_{k-1}\dots\tau_{3}\tau_{2}(m_{i}) =m_{i} =\sigma(m_{i}) \end{align*}

が成り立つ.

よって,命題が従う.

例えば,巡回置換$\sigma=(1,2,3,4)$は互換の積として,

\begin{align*} \sigma=(3,4)(2,4)(1,4)=(1,2)(2,3)(3,4) \end{align*}

などと表せますね.

ここまでで

  • 全ての置換は巡回置換の積で表せる
  • 巡回置換は互換の席で表せる

が成り立つことが分かりましたから,全ての置換は互換の積で表せることになります.

偶置換と奇置換

行列式を定義する際には偶置換奇置換が必要となるので,ここでこれらの定義を説明しておきます.

偶置換と奇置換の定義

全ての置換は互換の積で表せますが,いま考えた例から互換の積での表し方に一意性がないことが分かります.

しかし,実は置換を互換の積でどのように表しても,このときの互換の個数の偶奇には一意性があります.

すなわち,次の定理が成り立ちます.

置換を互換の積で表すとき,かけ合わされている互換の個数の偶奇は置換によらない.

異なる$x_{1},\dots,x_{n}\in\R$に対して,写像$f:S_{n}\to\R$を$f(\sigma):=\prod_{i<j}(x_{\sigma(i)}-x_{\sigma(j)})$で定める.すなわち,

\begin{align*} f(\sigma) =(x_{\sigma(1)}-x_{\sigma(2)})(x_{\sigma(1)}-x_{\sigma(3)}) \times\dots\times(x_{\sigma(1)}-x_{\sigma(n)})& \\\times(x_{\sigma(2)}-x_{\sigma(3)})\times\dots\times(x_{\sigma(2)}-x_{\sigma(n)})& \\\vdots\qquad& \\\times(x_{\sigma(n-1)}-x_{\sigma(n)})& \end{align*}

である.ここで,偶数$k$個の互換の積と奇数$\ell$個の互換の積で表せる置換$\sigma$が存在すれば,

\begin{align*} \sigma=\tau_{1}\dots\tau_{k}=\iota_{1}\dots\iota_{\ell} \end{align*}

と表せる.

ここに,$\tau_{i},\iota_{j}\in S_{n}$ ($i=1,\dots,k$, $j=1,\dots,\ell$)は互換である.

任意の互換$\eta:=(i,j)\in S_{n}$と置換$\kappa\in S_{n}$に対して,$f(\kappa\eta)$は$f(\sigma)$の因数のうち$x_{\sigma(i)}-x_{\sigma(j)}$を

\begin{align*} x_{\sigma\eta(i)}-x_{\sigma\eta(j)}=x_{\sigma(j)}-x_{\sigma(i)} \end{align*}

に変えたものに等しいから,$f(\kappa\eta)=-f(\kappa)$である.

$k+\ell$が奇数であることに注意すると,

\begin{align*} f(\epsilon) =&-f(\tau_{1}) =(-1)^{2}f(\tau_{1}\tau_{2}) \\=&\dots =(-1)^{k}f(\tau_{1}\dots\tau_{k}) \\=&(-1)^{k}f(\iota_{1}\dots\iota_{\ell}) =(-1)^{k+1}f(\iota_{2}\dots\iota_{\ell}) \\=&\dots =(-1)^{k+\ell-1}f(\iota_{\ell}) \\=&(-1)^{k+\ell}f(\epsilon) =-f(\epsilon) \end{align*}

となって,$f(\epsilon)=0$を得る.しかし,$x_{1},\dots,x_{n}$は全て異なるとしたから,$f(\epsilon)\neq0$なのでこれは矛盾である.

よって,$\sigma$を互換の積で表すとき,互換の個数の偶奇は固有である.

この証明の$f$は差積 (difference product)ヴァンデルモンド多項式 (Vandermonde polynomial)などとよばれます.

この定理から,以下の定義はwell-definedですね.

$\sigma$が$m$個の互換の積として表されるとき,$\sgn(\sigma)$を

\begin{align*} \sgn(\sigma)= \begin{cases} 1&(m=0,\pm2,\pm4,\dots)\\ -1&(m=\pm1,\pm3,\pm5,\dots) \end{cases} \end{align*}

と定める.$\sgn(\sigma)$を$\sigma$の符号 (signature)といい,$\sgn(\sigma)=1$なる$\sigma$を偶置換 (even permutation),$\sgn(\sigma)=-1$なる$\sigma$を奇置換 (odd permutation)という.

なお,“well-defined”については以下の記事を参照してください.

例えば,$S_3$は

\begin{align*} S_3=\left\{ \sigma_{1}:=\pmat{1&2&3\\1&2&3}, \sigma_{2}:=\pmat{1&2&3\\1&3&2}, \sigma_{3}:=\pmat{1&2&3\\2&1&3}, \right.& \\\left. \sigma_{4}:=\pmat{1&2&3\\3&1&2}, \sigma_{5}:=\pmat{1&2&3\\2&3&1}, \sigma_{6}:=\pmat{1&2&3\\3&2&1} \right\} \end{align*}

ですね.これらは

\begin{align*} \sigma_{1}=(1,2)(2,1),\quad \sigma_{2}=(2,3),\quad \sigma_{3}=(1,2),\quad \sigma_{4}=(2,3)(1,2),\quad \sigma_{5}=(1,3)(1,2),\quad \sigma_{6}=(1,3) \end{align*}

と互換の積で表せるので

\begin{align*} \sgn(\sigma_{1})=\sgn(\sigma_{4})=\sgn(\sigma_{5})=1,\quad \sgn(\sigma_{2})=\sgn(\sigma_{3})=\sgn(\sigma_{6})=-1 \end{align*}

となりますね.

置換の符号の性質

最後に置換の符号についての性質を説明します.

任意の$\sigma,\tau\in S_{n}$に対して,以下が成り立つ.

\begin{align*} \sgn{(\sigma)}\sgn{(\tau)}=\sgn{(\sigma\tau)}=\sgn{(\tau\sigma)} \end{align*}

$\sigma$, $\tau$が互換の積で$\sigma=\iota_{1}\dots\iota_{k}$, $\tau=\iota_{1}’\dots\iota_{\ell}’$で表されるとすると,

\begin{align*} \sigma\tau=\iota_{1}\dots\iota_{k}\iota_{1}'\dots\iota_{\ell}',\quad \tau\sigma=\iota_{1}'\dots\iota_{\ell}'\iota_{1}\dots\iota_{k} \end{align*}

だから,$\sigma\tau$, $\tau\sigma$はいずれも$k+\ell$個の互換の積で表せる.

よって,$\sgn{(\sigma)}=\sgn{(\tau)}$のときは,$k$と$\ell$の偶奇が一致するから$k+\ell$は偶数なので$\sgn{(\sigma\tau)}=\sgn{(\tau\sigma)}=1$である.

また,$\sgn{(\sigma)}\sgn{(\tau)}=(\pm1)^{2}=1$だから等式が従う.

一方,$\sgn{(\sigma)}\neq\sgn{(\tau)}$のときは,$k$と$\ell$の偶奇が異なるから$k+\ell$は奇数なので$\sgn{(\sigma\tau)}=\sgn{(\tau\sigma)}=-1$である.

また,$\sgn{(\sigma)}\sgn{(\tau)}=1\cdot(-1)=-1$だから等式が従う.

この命題により,以下の系が成り立ちますね.

任意の$\sigma\in S_{n}$に対して,以下が成り立つ.

\begin{align*} \sgn(\sigma)=\sgn(\sigma^{-1}) \end{align*}

上の命題で$\tau=\sigma^{-1}$とすると,$\sigma\tau$は恒等置換なので$\sgn{\sigma}\sgn{\sigma^{-1}}=1$となるから,$(\sgn{\sigma},\sgn{\sigma^{-1}})=(\pm1,\pm1)$ (複号同順)である.

よって,$\sgn{\sigma}=\sgn{\sigma^{-1}}$が従う.

次の記事では,この記事で説明した置換を用いて行列式を定義し,行列式の性質を説明します.

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