【SPONSORED LINK】

LaTeXで図を直接描けるTikZの使い方1|基本的な描線

LaTeXで図を扱いたいとき,もともと画像ファイルを作っておいて,それをgraphicxなどのパッケージで挿入する方法がある.

しかし,図とLaTeXの文字のバランスの調整が難しかったり,図の挿入が綺麗に挿入できないことも少なくない.

そこで,本稿ではTeXファイルに直接記述することで,直線,曲線,グラフなどの図を描くことができるパッケージのTikzのLaTeXでの使い方を紹介する.

画像ファイルを挿入する方法だと,図に修正を加えたいときに別ソフトで画像ファイルの編集をする必要がある.

一方,直接記述して表示できるTikZを用いれば,図の修正がTeX上で完結する.これはメリットであろう.

続きを読む


ガウス関数のフーリエ変換を具体的に計算する

Fourie変換は「関数を波の和で表す」という発想に基づいた変換であり,理工系の様々な分野で重宝される.

G(x)=Ae^{-\eta x^2} (x\in\R)で定まる関数Gを(1次元の)Gauss(ガウス)関数(Gaussian/ガウシアン)いい,Gauss関数は正規分布の確率密度関数として知られる.

Gauss関数はFourier変換を施してもGauss関数であるという性質をもつ.

Fourier変換を数学的に定義するには,ある程度の条件(可積分性など)が必要である.具体的には,Lebesgue可積分であるような関数には,Fourier変換を定義することができる.

本記事では,Gauss関数にFourier変換が定義できることを説明し,Gauss関数のFourier変換が再びGauss関数になることを計算により確かめる.

続きを読む


バナッハ空間とヒルベルト空間の完備でない部分空間の例

完備なノルム空間をBanach(バナッハ)空間といい,完備な内積空間をHilbert(ヒルベルト)空間という.

Banach空間(Hilbert空間)はもとより線型空間なので,線型空間としての部分空間を考えることができる.この部分空間に元の空間と同じノルム(内積)を与えたものはノルム空間(内積空間)となるが,完備性を持つとは限らない.

すなわち,Banach空間の部分空間が同じノルムでBanach空間になるとは限らないし,Hilbert空間の部分空間が同じ内積でHilbert空間になるとは限らない.

本稿では,Hilbert空間の部分ノルム空間で完備でないものの例を考える.その際,以下の事実に注意する.

一般に,Banach空間,Hilbert空間の部分空間が同じノルムで完備であるためには,部分空間が閉であることが必要十分である.したがって,Banach空間,Hilbert空間の閉でない部分ノルム空間は完備でない.

続きを読む


シュレディンガー方程式のストリッカーツ評価の導出

この記事ではSchrödinger(シュレディンガー)方程式に関して,非常に重要な役割を果たすStrichartz評価とその証明を解説する.

Strichartz(ストリッカーツ)評価は,波動方程式に関する不等式評価であるStrichartz-Brenner評価に対応し,歴史的にはStrichartz-Brenner評価の方が古い.

Strichartz評価の証明のためには,「自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}の分散型評価(分散評価)」と「Hardy-Littlewood-Sobolervの不等式」を用いることになる.

なお,自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}は,初期値u_0に対して自由Schrödinger方程式

    \begin{align*} i\partial_t{u}+\Delta{u}=0 \end{align*}

の解e^{it\Delta}u_0を表す作用素e^{it\Delta}のことである.

続きを読む


【書評】詳解と演習 大学院入試問題<数学>(数理工学社)

本記事では,

「詳解と演習 大学院入試問題<数学> 大学数学の理解を深めよう」 (海老原円・太田雅人 著/数理工学社)

の紹介をする.

本書は数学系の大学院入試のための問題集であり,重要な頻出問題を中心に構成されている.

また,各分野の最初には基本の解説がなされており,復習としても利用できる.

解答例の行間が少なく,考え方のポイントなども解説されており,非常に読みやすい問題集である.

とはいえ,簡単な問題だけでなく,東京大学や京都大学といった国公立大の問題も数多く掲載している.

続きを読む


ハメル基底とf(x+y)=f(x)+f(y)をみたす関数

「Hamel(ハメル)基底」は「体\Q上のベクトル空間\Rの基底」のことをいい,選択公理を認めると「Hamel基底の存在」を証明することができる.

【参考記事:ベクトル空間の基底とハメル基底の存在の証明

さて,「Hamel基底が存在したら何が分かるのか」ということだが,Hamel基底を用いれば「任意のx,y\in\Rに対して,f(x+y)=f(x)+f(y)をみたす関数f:\R\to\Rf(x)=ax (a\in\R)に限られるか」という問題に対する反例を挙げることができる.

すなわち,f(x)=axならf(x+y)=f(x)+f(y)をみたすことは簡単に分かるが,Hamel基底の存在によりf(x)=axの形をしていないf(x+y)=f(x)+f(y)をみたす関数が存在することを示すことができるのである.

この記事では,Hamel基底を説明したあと,「f(x+y)=f(x)+f(y)をみたす関数f:\R\to\Rf(x)=ax (a\in\R)に限られるか」という問題に対する反例を考える.

続きを読む


ベクトル空間の基底とハメル基底の存在の証明

Zorn(ツォルン)の補題は選択公理と同値な存在定理である.

選択公理を認めないとする立場もあるが,この記事では選択公理を認めてZornの補題を用いることで様々なものの存在を証明することができる.

例えば,この記事で扱う

  1. ベクトル空間における基底
  2. Hamel基底

の存在は両者ともZornの補題によって証明することができる.すなわち,選択公理を認めれば

  1. \{0\}でない任意のベクトル空間は基底を持つ
  2. Hamel基底が存在する

を証明することができる.

なお,Hamal基底のイメージなどについては以下の記事でも説明しているので参照されたい.

続きを読む


群と環と体の定義とそれらの例

代数学は数学の構造を研究する分野であり,群(group),環(ring),体(field)上において理論が展開されることが非常に多い.

群,環,体といった代数構造を定義するためには,「集合」と「演算」が必要となる.

例えば,

  • 整数の集合\Zは通常の加法+によって「群」となる
  • 実数係数の1変数多項式\R[x]の集合は通常の加法+と乗法\cdotによって「環」となる
  • 実数の集合\Rは通常の加法+と乗法\cdotによって「体」となる

この記事では,最初に「2項演算」を説明し,そのあとに群,環,体の定義とそれらの例を挙げる.

続きを読む


H27院試/大阪市立大学/数物系専攻/数学系/専門分野

平成27年度/大阪市立大学大学院/理学研究科/数物系専攻/数学系の大学院入試問題の「専門分野」の解答の方針と解答です.

ただし,採点基準などは公式に発表されていないため,ここでの解答が必ずしも正解とならない場合もあり得るので注意してください.

なお,過去問は大阪市立大学のサポートセンターで借りて,コピーすることはできます.

【参考:大阪市立大学/理学部・理学研究科/大学院入試情報

続きを読む


弱Lp有界性とマルチンキーヴィッツの実補間定理

関数空間の補間定理として,[Marcinkiewicz(マルチンキーヴィッツ)の実補間定理]がある.

定義はのちに述べるが,作用素のL^p有界性には,(普通の)L^p有界性と弱L^p有界性がある.言葉からも分かるように,作用素TL^p有界であれば,弱L^p有界である.

[Marcinkiewiczの実補間定理]は,ある種の三角不等式を満たす作用素Tが弱L^1有界性と弱L^q有界性(1<q)をもつとき,任意のp\in(1,q)に対して作用素TがL^p有界性をもつことを保証する定理である.

つまり,両端L^1L^qで弱有界であれば,その間でL^p有界となる.「両端は弱でよい」というのが[Marcinkiewiczの実補間定理]の優れた点である.

また,非線形作用素にも適用できる点も優れている.

なお,日本ではMarcinkiewiczは様々な発音で読まれるが,「マルチンキェーヴィツ」がMarcinkiewiczの正確な発音に近いようである.

続きを読む