【SPONSORED LINK】

ラグランジュの未定乗数法の直感的な理解と証明

例えば,f(x,y)=x^2+3xy+y^2+1の最小値を求めたいときには,\pd{f}{x}(a,b)=\pd{f}{y}(a,b)=0となる点(a,b)を求めることによって,f(x,y)が最小値をとる点の候補が得られる.

しかし,これが「『x+y=1上での』f(x,y)=x^2+3xy+y^2+1の最小値を求めたい」のように,xyに制約がかかると単純にfの偏導関数から最小値を求めることができない.

そこで,曲線や直線上といった「制約条件下」での関数の極値を求めるために,[Lagrange(ラグランジュ)の未定乗数法]がある.

この記事では,[Lagrangeの未定乗数法]の考え方のイメージを説明し,証明を与える.

続きを読む


自由シュレディンガー方程式の解の性質

自由Schrödinger(シュレディンガー)方程式の初期値問題

    \begin{align*} \begin{cases} i\partial_{t}u(t,x)+\Delta_x u(t,x)=0& (t,x)\in\R\times\R^N\\ u(0,x)=u_0(x)& x\in\R^N \end{cases} \end{align*}

を考える.ここに,iは虚数単位,\partial_{t}=\frac{\partial}{\partial t}, \Delta_x=\sum_{i=1}^N\frac{\partial^2}{\partial x_i^2}である.

自由Schrödinger方程式の初期値問題の解uは,[Stoneの定理]を用いてu(t,x)=e^{it\Delta}u_0(x)と表すことができ,このe^{it\Delta}を自由Schrödinger発展作用素という.

この記事では,自由Schrödinger発展作用素e^{it\Delta}の基本性質について説明する.

ただし,本稿ではFourier変換\mathcal{F},逆Fourier変換\mathcal{F}^{-1}をそれぞれ次で定義する:

    \begin{align*} &\hat{u}(\xi)=\mathcal{F}_{x}[u](\xi)=\frac{1}{(2\pi)^{N/2}}\dint_{\R^N}e^{-ix\cdot\xi}u(x)\,dx, \\&\check{u}(x)=\mathcal{F}_{\xi}^{-1}[u](x)=\frac{1}{(2\pi)^{N/2}}\dint_{\R^N}e^{ix\cdot\xi}u(\xi)\,d\xi \end{align*}

続きを読む


ペロン-フロベニウスの定理|成分が正の行列の最大固有値

[Perron-Frobenius(ペロン-フロベニウス)の定理]とは,全ての成分が正または非負である正方行列の最大固有値に関する定理である.

歴史的には,全ての成分が正の行列に対する定理をOskar Perronが示し,後にFerdinand Georg Frobeniusが全ての成分が非負の行列に対する同様の定理を示した.

また,この[Perron-Frobeniusの定理]の応用範囲は工学から経済学まで非常に広い.

なお,多項式に行列を代入したときの固有値に対するFrobeniusの定理は以下を参照されたい.

【参考記事:フロベニウスの定理

続きを読む


微分積分学の基本定理とその証明|微分と積分の関係を導出

「積分」を定義するときの1つの方法として,「Riemann和の極限(長方形近似)」を用いて積分を定義する方法がある.

この面積による積分を「Riemann積分」というが,Riemann積分を定義から計算しようとするとRiemann和から計算しなければならず,計算は面倒になる.

そこで,Riemann和を経由せずに積分を計算するための定理として,「微分積分法の基本定理」がある.

この「微分積分法の基本定理」によって,積分はRiemann和を求めずとも,原始関数によって計算できることが分かる.

なお,高校数学においては「積分は微分の逆演算」として定めるが,この定義によれば「微分積分学の定理」は明らかである.しかし,積分が求積に用いられてきたという側面を見れば,この定義は少々不自然である.

この記事では,「微分積分学の基本定理」の主張とその証明を述べる.

この記事での「積分」は,全てRiemann積分を指すものとする.

続きを読む


双対性議論(duality argument)について

p\in[1,\infty)に対して,p'=\bra{1-\frac{1}{p}}^{-1}p'\in(1,\infty]を定める(すなわち,pp'はHölder共役).

このとき,L^{p}の共役空間(双対空間)(L^{p})^{*}L^{p'}と同型であることはよく知られているが,この事実を示すことは簡単ではない.

しかし,この双対的な議論をするとき,(L^{p})^{*}\cong L^{p'}まで用いる必要はなく,任意のv\in L^{p'}(\Omega)に対して,

    \begin{align*} \|v\|_{L^{p'}(\Omega)} =\sup_{\|u\|_{L^{p}(\Omega)}=1}\abs{\int_{\Omega}u(x)v(x)\,dx} \end{align*}

が成り立つことを用いれば十分なことも多い.

この記事では,この等式に関する証明を行う.

なお,\Omega\subset\R^Nに対して,I_{\Omega}\Omega\subset\R^N上の定義関数とする.

続きを読む


フビニの定理,トネリの定理,フビニ・トネリの定理のまとめ

測度空間X, Yに対して,

  • \dint_{X\times Y}f(x,y)\,d(x,y)
  • \dint_{Y}\bra{\dint_{X}f(x,y)\,dx}\,dy

は一致するとは限らない.

[Fubini(フビニ)の定理][Tonnelli(トネリ)の定理]は二重積分と累次積分が一致するための十分条件を述べたものであり,非常に重要な解析学の定理である.

また,[Fubiniの定理]と[Tonelliの定理]を組み合わせた[Fubini-Tonelliの定理]と呼ばれる定理も存在する.

[Fubiniの定理],[Tonelliの定理],[Fubini-Tonelliの定理]を総称して「Fubiniの定理」と呼ぶ場合もある.

この記事では,[Fubiniの定理],[Tonelliの定理],[Fubini-Tonelliの定理]を概説する.

続きを読む


リース・ソリンの複素補間定理とその証明

作用素の中でも,有界作用素は様々な良い性質をもつ.

作用素の有界性を保証する定理の一つとして,[Riesz(リース)-Thorin(ソリン)の複素補間定理]がある.

[Riesz-Thorinの複素補間定理]は以下のように述べられる.

作用素TL^{p_0}からL^{q_0}への有界作用素,かつL^{p_1}からL^{q_1}への有界作用素でもあるとき,TL^{p_{\theta}}からL^{q_{\theta}}への有界作用素となる.

ここに,p_{\theta}, q_{\theta}は次の通りである.

    \begin{align*} p_{\theta}:=\bra{\frac{1-\theta}{p_0}+\frac{\theta}{p_1}}^{-1},\quad q_{\theta}:=\bra{\frac{1-\theta}{q_0}+\frac{\theta}{q_1}}^{-1} \end{align*}

なお,座標平面上の点(p_{\theta},q_{\theta})は2点(p_0,q_0), (p_1,q_1)を結ぶ線分の内分点である.

すなわち,ある2点(p,q)=(p_0,q_0),(p_1,q_1)で作用素TL^pからL^qへの有界作用素であれば,その2点を結ぶ線分上の任意の点(p',q')においても,TL^{p'}からL^{q'}への有界作用素となる.

このように,ある2つの状況で成り立っており,それらの間でも成り立つことを保証する定理を補間定理という.

[Riesz-Thorinの複素補間定理]の証明には,[Hadamard-Phragmén-Lindelöfの三線定理]を用いる.

続きを読む


1パラメータユニタリ群に関するストーンの定理

この記事では,「1パラメータユニタリ群に関するMarshall Harvey Stone(ストーン)の定理(以下,Stoneの定理)」を説明する.

Stoneの定理はHilbert空間上の作用素の族\{T_t\}_{t\in\R}がユニタリ群であるための必要十分条件を述べる定理である.

また,類似の定理としてはHille-Yosidaの定理があり,こちらはBanach空間上の線形作用素Aが半群\{T_t\}_{t\in\R}の生成作用素となる必要十分条件を述べる定理である.

Stoneの定理はHille-Yosidaの定理により証明できるが,歴史的にはStoneの定理の方が古い.

続きを読む


H28院試/大阪市立大学/数物系専攻/数学系/専門分野

平成28年度/大阪市立大学大学院/理学研究科/数物系専攻/数学系の大学院入試問題の「専門分野」の解答の方針と解答です.

ただし,採点基準などは公式に発表されていないため,ここでの解答例が必ずしも正解とならない場合もあり得るので注意してください.

なお,過去問は大阪市立大学のサポートセンターで借りて,コピーすることはできます.

【参考:大阪市立大学/理学部・理学研究科/大学院入試情報

続きを読む


H29院試/京都大学/数学・数理解析専攻/基礎科目

平成29年度/京都大学大学院/理学研究科/数学・数理解析専攻の大学院入試問題の「基礎科目」の解答の方針と解答です.

ただし,採点基準などは公式に発表されていないため,ここでの解答が必ずしも正解とならない場合もあり得るので注意してください.

なお,過去問は京都大学のホームページから入手できます.

【参考:京都大学数学教室の過去問

続きを読む